2020年の東京五輪が決まった後、景気の良い話が聞こえてきた。東京都は’13年から’20年までの経済波及効果は、約2兆9,609億円と試算。東京都スポーツ振興局招致推進部によると……。

 

「たとえば、競技場などの施設を建てるには、原材料を調達したり、部品を組み立てる作業が伴います。こうした作業は東京以外の業者が請け負うことも考えられます」

 

東京商工リサーチ情報本部の友田信男さんはこう言う。

 

「競技場や施設を含めたインフラ整備には4千554億円もの予算が組まれています。真っ先に建設業と設計会社、資材を調達するセメント、鉄鋼、運送業と幅広い分野にまで効果が出ます。飲食業や百貨店などの小売業まで景気がよくなるでしょう」

 

そこで東京都の試算によると、全国で15万人もの雇用が増えるというのだ。

 

「主婦のパートといえば近所のスーパーやコンビニのレジなどの仕事が多かったのですが、女性でも警備や建設現場で作業する人、飲食店やお店の販売員、ホテルや旅館の従業員などは引く手あまたの状態になります」

 

こう言うのは、経済キャスターの雨宮京子さんだ。今年4月に『改正労働契約法』が施行され、繰り返し契約を更新して5年を超えた人は、申しこめば、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるという。

 

「今から外人観光客にむけて“おもてなし”のスキルや語学力を身につけると、就職できる機会があるかもしれません。これまでは人件費を抑えるために、非正規や派遣がいいと考えていた雇い主も、7年後を見据えて正社員として雇い、しっかり社員の教育をしようという流れになってきます」

 

これだけの規模の“景気刺激策”は当分行われないだろう。安定した職を見つける、最後のチャンスになるかもしれない。

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