一定のお金を預けたら、プロがさまざまな金融商品に運用してくれるという「ラップ口座」の契約件数が増え、注目されている。
「ラップ口座のラップとは『包む』という意味で、意外と高回りも…専門家に聞く“株主優待目的の投資”の始め方包括的に行うサービスを指します。個人と、証券会社や信託銀行が、投資一任契約を結んで行います。最初に、運用方針を相談します。日本株や外国株、債券や投資信託、不動産投資信託などから投資商品を選び、顧客の希望に沿った組み合わせを考えます。その後、実際の売買や運用、資産の管理などはプロにおまかせ。顧客には定期的に、運用実績の報告書が届きます」
そう話すのは経済ジャーナリストの荻原博子さん。「ラップ口座」で特徴的なのは手数料で、運用資金残高によって決まる。通常の売買ごとにかかる手数料は不要で、年間で残高の1〜2%が一般的だ。
「ラップ口座はもともと富裕層向けのサービスでしたが、最低投資金額が500万円に引き下げられ、飛躍的に広がりました。今では300万円から始められるところもあります。昨年から今春までは、アベノミクスによる株高でラップ口座の運用利回りも5〜10%と好調な口座が多かったようです」
ラップ口座のセールスポイントは、プロにまかせられる安心感だが、顧客は丸投げしてはいけないと荻原さんはいう。そこで、荻原さんに「ラップ口座」の注意点を聞いた。
【1.ラップ口座は投資】
「プロが運用しても、損失が出ることもあります。預金保険制度や投資者保護基金の対象ではありませんから、必ず、余剰資金で運用してください」
【2.投資について何も知らずに契約するのは危険】
「投資商品の種類や特徴、それぞれどの程度のリスクがあるのか、下調べしましょう。また株価の動きなどにも注目しておきましょう」
【3.運用をどの金融機関に、どんなプロにまかせるのか、身長に選ぶ】
「実際に窓口で説明を聞き、質問してみましょう。たとえば、リスクを質問したとき、『投資配分が○%ですから、リスクは○%あります』と数字で、的確に答えてくれるプロを選ぶといいと思います」
【4.運用方針を決め、指示するのは顧客】
「プロの意見をうのみにするのではなく、不明な点は質問し、納得して決めましょう」
【5.ラップ口座に投資信託を組み込む場合、信託報酬も必要】
「たとえば500万円の資金でラップ口座を始めると、さまざまな投資信託を組み合わせることが多く、ラップ口座の手数料と信託報酬の両方がかかってきます。信託報酬は金融機関によって違いますので、手数料が合計いくらになるのか、それを上回る利益が見込めるのかを確認しましょう」
ラップ口座は、資産運用の選択のひとつ。世間の風潮にあおられず、自分で考え決めることが肝心だ。
「最近では、ラップ口座を契約するとがん保険が付くところもありますが、そういった特典に惑わされないようにしましょう。あちこち回って、比較して決めてください」