必死で働いた現役期間を終えた老後、年金生活に入るや、思いもかけない形で老後破産の瀬戸際を生きるーー。そうした事例を『NHKスペシャル 老人漂流社会“老後破産”の現実』(9月28日放送)ではリアルに取り上げ、「早く死にたいーー」という独居高齢者の悲痛な叫びが、多くの視聴者に危機感を与えた。

 

深刻な問題となっている老後破産だが、主婦が働き手となることで、迫りくる老後破産に対する強力な予防策になるという。キャリアコンサルタントの上田晶子さんは、子育てが一段落した主婦にはまずこうアドバイスしている。

 

「私は『クレッシェンド計画』といって、急にフルタイムの仕事にバリバリ従事するというのではなく、しっかり準備をして、徐々に仕事を広げていくスタイルが望ましいと思います」

 

上田さんのセミナーに参加する主婦たちは、それまで子どもの教育のため働くことができなかったという。

 

「いまは40歳、50歳から再スタートして70歳まで働く時代です。20年、30年働くプランを立ててみましょう。いつどんな出費と収入があるのか。これを眺めているとのんびりしていられなくなります」

 

従来は50歳くらいまで働き、後は悠々自適にと考える家庭の主婦は多かったようだが、いま老後破産を回避するため、そんな時代は終わったのだと認めることが大切。

 

「そして若いころに従事していた職種はないと思わなければなりません。その仕事は若い人にやっていただく内容。年を重ねたいま、たとえば事務職でも専門性を追求することをおすすめします」

 

事務職は、再就職時の希望として圧倒的に希望者が多いそう。上田さんは、経理、英語、パソコンスキルを生かした3つの事務職を狙うべきだと語る。

 

「やはり専門性を極めると仕事のニーズは増え、収入も増えます。カウンセラーの仕事も経験を重ねていたほうが有利。営業もテレホンアポインターなども若ければいいというのではなく、年齢・経験がものをいいます」

 

家庭の主婦が仕事に復帰し、年間200万〜300万円の収入を得て、それを老後マネーに回せたらそれはかなり大きい。40歳からのクレッシェンド計画に乗るか否かも、老後の分かれ道かもしれない。

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