「急激な円安、消費税増税の先送り、突然の衆議院選挙など混迷の’14年が暮れようとしています。来る’15年は明るく迎えたいのですが、家計の負担増は今後も続きます」

 

そう話すのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。消費税増税は延期となったが、来年も負担増が目白押し。とくに年金や介護分野での負担が大きく、高齢者にはより厳しい年になりそうだと荻原さんは言う。

 

「4月からの介護保険の改定は一般の方にも影響が及びます。なかでも、負担増につながる改定は、おもに2つです。1つ目は、特別養護老人ホームへの入所が要介護3より重い方に限られました。要介護1、2でも徘徊するなど目が離せない方もいます。今でも年間10万人以上が介護を理由に離職していますが(’12年・総務省就業構造基本調査)、来年以降はもっと増えるかもしれません」

 

介護を担う家族の身体的、経済的負担はますます重くなる。

 

「2つ目は、年金収入などが280万円を超える高齢者の介護サービスの自己負担を、8月から2割に引き上げることです。介護保険制度の改定は3年に1度ですが、40〜64歳の現役世代が払う介護保険料は、毎年上がっています。’14年度には初めて平均月5千円を超えました」

 

制度が始まった’00年の介護保険料は平均約2千円。2.5倍の負担増となっている。

 

「年金保険料も、’17年までは毎年上がる予定です。これは’04年に決定ずみですから、最近はあまり報道されていませんが、毎年じりじり上がって生活を圧迫しています。そして、最大の負担増は、円高による物価上昇でしょう。日銀が追加の金融緩和を打ち出した10月末から約2カ月で、円はさらに10円安くなりました」

 

海外で買い付けた商品が日本の店頭に並ぶのは2〜3カ月後。物価上昇はこれからが本番だ。

 

「7〜9月期のGDP(国内総生産)を見ても景気の悪化は明らかで、給料の上昇は一部の大手企業を除いて、期待できないでしょう。不況下で物価が上がり続けるスタグフレーションの危険性も、高まっています。私たちは財布のひもを締め、家計防衛に努めるしかありません」

 

負担増による家計圧迫にどう対策をとるのか。選挙後の政府の動きは、いっそう厳しくチェックしたい。

経済ジャーナリスト
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