「スーパーなどでモノの値上がりを実感する人も多いと思います。消費者物価指数を見ても、前年同月と比べて2.9%、17カ月連続で上昇しています(’14年10月・総務省調べ)。物価上昇のおもな原因は、円安による輸入品の高騰です。特に、食料品は6割以上が輸入です。たとえ国産品でも、飼料や肥料は輸入に頼っていますから、ほとんどのモノが値上がりしています」
こう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。安倍首相はアベノミクスの継続を宣言し、私たちの暮らしは厳しくなるいっぽう。実質賃金は16カ月連続でマイナスだ(’14年12月・厚労省毎月勤労統計調査)。こうなったら知恵を絞るしかない。知恵の見せところは料理。というわけで、荻原さんにこんな時期でも値上がりしない食品を教えてもらった。
「今、値上がりしていない安い食品として、真っ先に思いつくのはお米です。米は’14年産の生産者米価が暴落し、農業施策の点では大問題ですが、家計を考えるとありがたい低価格です。朝食はご飯のほうが腹持ちもよく、副菜も納豆やお魚ですから、パン食より安上がりです」
食べ盛りの子どもたちには、3時のおやつに市販の袋菓子をやめて、手作りの焼きおにぎりを、と荻原さん。
「ほかに物価高の今も、値上がりしない食品といえば、缶詰です。安い時期に仕入れたもので大量に作って長期保存しますから、大きく値動きすることはありません。私はサバ缶のトマト煮込みが好きで、よく作ります。サバ缶とトマト缶があればあっという間にできるので、忙しいときにも重宝です。また、時短料理は光熱費も節約できるので、お得なことばかり」
缶詰の賞味期限はおよそ3年だが、それを超えてもすぐに食べられなくなるわけではない(日本缶詰びん詰めレトルト食品協会)。古いものは加熱調理して、無駄なく使いたい。
「今は、野菜の値段も安定していますが、気候の影響を受けやすいもの。地元産のものは輸送コストが抑えられる分、安く買えますし、新鮮です。地産地消に努めましょう。野菜が安くたくさん手に入ったら、干し野菜を作るのも手です。100円ショップで売っている、干物作り用のネットに、大根なら千切りに、にんじんなら薄めの短冊切りに、捨ててしまいがちな大根の葉も10センチくらいに切って、干しておきます。冬は2〜3日干せばできあがり。汁ものにはそのまま使えますし、水戻しも簡単です」
また最近は工場野菜も増えている。えのきやしめじなどのきのこ類や、かいわれや豆苗などは、気候の影響がないので、上手に利用しようとのこと。そして最後に、荻原さんは言った。
「私たちは自分の生活を守り、工夫するとともに、政治への厳しい目も持ち続けないといけません。安倍首相の『給料が上がる』という言葉が、どこまで実現できるのか、見届けたいものです」