「終の住処選びを失敗すると、自分の人生を全否定された気になってしまうものです。人生の晩秋を安心して過ごすためにも、準備はお早めに!」
そう語るのは、「高齢期のお金を考える会」会員でファイナンシャルプランナーの畠中雅子さん。終の住処は、かかる費用も千差万別。そこで、経済的な視点から、終の住処選びの注意点を畠中さんに教えてもらった。
【一度にあわてて売り買いしない】
「年齢的にローンが組めないことが多いので、終の住処の資金プランとして、自宅を売却して費用に充てる方も少なくありません。しかし、ここで気をつけたいのは、自宅の売却と住み替え先の物件の購入を同時にしようとすること。せっかくの老後資金が目減りする可能性も否めません!」
たとえば、自宅を4千万円で売却し、その資金で3千万円のマンションを終の住処として購入しようとする場合。売却も済んでいないのに次の物件を購入してしまうとあせってしまい、結果、買いたたかれてしまうことも少なくない。
「最低でも4千万円で売却するつもりが、自宅が3千500万円でしか売れなかったということもありえます。間に賃貸生活を挟んででも、売却をあせらないこと!たとえば、UR賃貸住宅(旧公団住宅)なら、礼金や仲介手数料などが発生しないので、ムダもありません。ここで粘り強く交渉することで、4千万円が4千200万円になることも。そこから次の住まいを選びましょう」
【有料老人ホームも、種類によって金額が異なる】
「介護付き有料老人ホームとは、介護保険法にもとづき特定施設入居者生活介護という認可を受けている老人ホームのことで、入居金は都内でも300〜500万円ぐらい。24時間365日介護を受けたとしても、介護費用の上乗せ額は、要介護度5の人でも、1カ月3万円以内ですむのが特徴です」
いっぽう、住宅型になるとジムやプール付きなどの付帯施設が豪華なところも。すると入居金も数千万円に上るうえ、特定施設でなければ、介護は外部の介護サービスを受けることになるという。
「介護保険の限度を超えれば、自己負担額は青天井に。有料老人ホームは、自分の介護の度合いと予算に応じて、どこに入るべきか検討しましょう」
【安さが際立つケアハウス】
「ケアハウスは、『ケア』と名がついていながら、原則60歳以上で介護の必要がない人が入居対象です。収入によって家賃は変わりますが、都心部でも、3食込みで月7万円台のケアハウスを探せます。キレイなところも多いので、選択肢としてアリでしょう」
介護目的ではないが、一人暮らしや老夫婦だけの生活に不安を感じる人には、ケアハウスという選択肢も!
「50歳を過ぎたら、資金プランを練るだけでなく、いろんな施設も見学に行きましょう!」