「働き方改革関連法案」が5月31日、衆議院で可決された。「労働者にとってたいへん危険な内容を含んだ法案ですから、もっとしっかり議論して、国民が納得してから採決してほしかった。腹立たしい思いでいっぱいです」と語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。荻原さんはほかにも、安倍内閣には異議を唱えたい施策がたくさんあるという。

 

そこで、私たちの生活に関りの深い施策について、荻原さんが問題点を指摘!

 

【消費税増税】

 

消費税の10%への引き上げは来年10月に予定され、引き上げるかどうかの最終判断は、今年中に行うことになっています。

 

私たちは8%に引き上げの際も、相当苦しい思いをしてきましたが、それでも「国の財政が厳しいのだから仕方ない」と、増税を認めたいきさつがありました。

 

というのも、’14年、消費税の8%引き上げ前に行われた衆議院議員選挙で、安倍首相は「消費税増税によって生まれた財源は、すべて社会保障に使う」と宣言したからです。「子育て支援や医療・介護にすべて使うなら」と一票を投じた方も多かったと思います。

 

ところが、昨年の衆議院議員選挙を前に安倍首相は、「消費税増税分は5分の1を社会保障、残りを借金返済に使うと約束していた」と語り、そのうえで、「今後は借金返済分を減らし、社会保障により多く充てる」と公約したのです。

 

これは’14年の公約をまるで無視した、明らかな公約違反です。こんなでまかせがまかり通ってよいのでしょうか。

 

加えて5月初旬から「消費税還元セール」を認める方向で、内閣府や財務省が調整を始めました。

 

消費税還元セールとは、消費税の引き上げ直後の買い控えを防ぐ目的で、スーパーなどが行う安売りセールです。’14年の8%への増税時には、こうした還元セールを、政府は特別措置法を作って禁止しました。理由は、立場の弱い卸売業者が、値引き分の負担を求められ、増税分を取りはぐれるからというものでした。

 

そのとき、「自由な商取引を国が規制するのか」といった反対意見が多く出て、「3%応援セール」など消費税と名乗らなければOKという玉虫色の決着をみたのです。

 

そんないわく付きの消費税還元セールを、今回は一転して認める方針といいます。’14年の増税後は消費が冷え切ったので、その反省もあるのでしょうが、消費税還元セールがあれば消費低迷は防げるとでも思っているのでしょうか。

 

そもそも10%という重い税率に、私たちの生活が耐えられるのかといった議論もなく、公約違反を棚に上げ“増税ありき”の施策は「ブラック」以外の何ものでもありません。時間をかけた議論と、国民に丁寧な説明が必要なことは、言うまでもありません。