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「BBCの番組放送後、数百件の激励メッセージが届きました。ほとんどがイギリスの方からのものですが、誹謗中傷は1件もなくて、正直ほっとしています。日本で身の危険を感じるほどバッシングを受けて、昨秋からイギリスに生活を移しました。これが放送されることで、また安心できる場所がなくなるのでは、と心配だったんです」

 

本誌の取材にそう明かすのは、イギリス在住のフリージャーナリストの伊藤詩織さん(29)だ。

 

「自分と同じように、性犯罪に苦しむ被害者を出したくない」

 

そんな思いで、ジャーナリストの山口敬之氏から強姦されたと、実名と顔を公表して訴えた詩織さん。6月28日、そんな彼女の闘いに密着したドキュメンタリー番組『Japan’s Secret Shame(日本の秘められた恥)』が、イギリスBBCで放送されて大反響を呼んでいる。

 

「セクハラをがまんしていたという女性から、『助けを求めていいんだと勇気づけられた』というメールや、英語講師として日本で働いていた若い男性からは『日本にいるとき、セクハラ被害にあっている女性が身近にいたのに、アクションを起こさなかった自分の態度を悔やんでいる』というメールをいただきました」(詩織さん・以下同)

 

同番組の中では、家族の写真がネット上にさらされたうえに、「売春婦!」などと、誹謗中傷の書き込みがあふれるネット掲示板を詩織さんが見てショックを受ける衝撃的な映像が放送された。

 

ほかにも、自宅に仕掛けられた盗聴器を詩織さんが発見するシーン。警察の取調べで男性警察官に囲まれ、等身大の人形を使ってレイプシーンを再現させられたという告白……。

 

そんな詩織さんはいま新たな一歩を踏み出している。

 

自身が監督を務めた『Lonely Deaths』という、日本の孤独死をテーマにしたドキュメンタリーが、今春、アメリカの国際的なメディア・コンクール「ニューヨーク・フェスティバル」で、2つの部門で銀賞を受賞した。

 

「ずっと、売名行為だと非難されていたから、ジャーナリストとして認められたことはよかったです。でも、家族も友達も日本にいますから……。いつか日本で、仕事をしたいと思っています」

 

詩織さんが安心して戻れる日本になるには、性犯罪の被害者が守られる国にならねばならない。

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