「日本の凶悪犯罪の検挙率は、諸外国に比べて高く、とくに殺人事件に限っては、検挙率100%を目標にしています」

 

そう語るのは、元刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平さん。平成30年版の『警察白書』が発表された。そこには都道府県別の事件検挙率なども掲載。事件検挙率は捜査対象となっている事件の数(認知件数)のうち、検挙された件数の割合を算出している。本誌では独自に、都道府県別の凶悪犯(殺人・強盗・放火・強制性交等)の検挙率を算出し、ランキング化した。

 

■「凶悪事件検挙率」ベスト10

 

【1位】島根県:136.36%
【2位】秋田県:111.76%
【3位】香川県:111.53%
【4位】長野県:110.71%
【5位】長崎県:110%
【6位】佐賀県:108.33%
【7位】三重県:106.52%
【8位】山口県:103.57%
【9位】沖縄県:102.81%
【10位】福島県:100%
【10位】福井県:100%
【10位】高知県:100%
【10位】宮崎県:100%

 

■「凶悪事件検挙率」ワースト10

 

【1位】山梨県:66.66%
【2位】奈良県:68.18%
【3位】神奈川県:75.25%
【4位】千葉県:75.73%
【5位】愛知県:78.48%
【6位】石川県:79.16%
【7位】岩手県:79.31%
【8位】鳥取県:81.25%
【9位】滋賀県:82.35%
【9位】岐阜県:82.35%

 

※平成30年版警察白書より。小数点第3位以下は切り捨て。捜査対象となった事件数(認知件数)を検挙件数で割った数。1位から9位は過去の犯罪を検挙することなどで、検挙件数が認知件数を上回る。

 

ランキングにあるように、殺人、放火、強盗犯などを含めた凶悪犯の検挙率は、ワースト7県を除いて、80%を超える。

 

「凶悪犯は件数が少ないので、その年によって、検挙率は大きく変動します」(小川さん)

 

検挙率が100%を超えるのは、前年以前に未解決だった事件が解決するなど、検挙数が調査した年の認知件数を上回るため。

 

「殺人の大部分は親族や、顔見知りによるもの。そのため特に地域のつながりが強い地方では犯人を割り出しやすいですが、人が多く近所付合いが希薄な都心部ではそうはいかなくなるし、行きずりの犯人ともなると、捜査は非常に難しくなります」(小川さん)

 

最近では「紀州のドン・ファン」といわれた資産家の不審死事件の真相が、いまだやぶの中。

 

「’96年の柴又女子大生放火殺人事件は、被害者のご両親に何度もお会いしているので、印象に残っています。’99年に富士市で起きたタクシー強盗殺人事件は、被害者の奥さまと一緒に現場に行きました。そこで座り込み、わんわんと奥さんが泣いている姿を見て“未解決事件を風化させてはいけない”と強く感じました」(小川さん)

 

犯人を追うのが警察の役目だが、逆に犯人を生み出してしまう悲劇もある。警察に詳しいジャーナリストの寺澤有さんはこう話す。

 

「ストーカー殺人が発生するたびに問題となるのは、被害者が警察に何度も訴えているのに、対応しないケースが多いこと。そのため犯行がエスカレートして、悲劇が生まれる。しっかり対応していれば、認知件数を減らすことができるはずです」(寺澤さん)

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