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「“いざなぎ超え”の好景気といわれていますが、生活に還元されているとはいえません。’19年からは、4月の社会保障制度改革と10月の消費税増税により、国民はより負担を強いられます。さらに、4月から施行される『働き方改革関連法』により、大企業に勤める会社員は、軒並み残業代がカット。年収は確実に減少するため、5月以降“生活が苦しい”と感じる世帯は増えるでしょう」

 

そう解説するのは、経済評論家の加谷珪一さん。’19年は、多くの法改正により、家計への負担が大きく変わってくる。

 

「さまざまな負担から家計を守るためには、法改正ごとに、その制度が自分の家族にとって負担を増やすものなのか、それとも賢く利用することで負担を減らすことができるのか、つねに意識することが重要です」

 

さっそく、加谷さん、弁護士の松下真由美さん(レイ法律事務所)とともに、’19年下半期の“お金にまつわる法改正”を見ていこう。

 

【7月】

 

■相続法(民法)改正

「長年の見直しの末、’18年7月に相続法(民法)が40年ぶりに改正され、’19年7月(一部は’20年7月)から施行されます。被相続人の妻や相続人の妻に“お得”なケースも増えているので、把握しておきましょう」

 

そう話す松下さんが、改正相続法の重要項目を解説してくれた。

 

《預貯金の仮払い》

「夫が急に亡くなり、葬儀費用や当座の生活費が足りないときでも、現状では相続人全員の同意がなければ、夫の預金を引き出せませんでした。しかし今回の改正法では、夫の預金の3分の1の額から、妻の法定相続分の2分の1まで(1金融機関150万円が上限)を妻が単独で引き出せるように改正されました」

 

《相続人でない親族の特別寄与》

「同居の義理の父をどれだけ長年にわたって介護してきても、現行法では法定相続人ではないため、相続人の妻は遺産を1円ももらえませんでした。この問題を解消するため、改正法では『義父の財産の維持などに特別な貢献をした』という意味で、相続人以外の親族にも『特別寄与』として請求できる権利が与えられることになります。各相続人に対して、特別寄与の支払いを請求し、協議によって決めるか、家族で決めてもらうというのがおもな請求方法です」

 

【10月】

 

■住宅ローン減税の延長・自動車税減税の見直し

住宅ローンの控除期間が、現行の10年間から、13年間に。入居1年目から10年間は、これまでと同様に年50万円を上限にローン残高の1%を控除。さらにローンが残る場合は11年目以降の3年通算で建物購入価格の2%の範囲で減税する方針だ。

 

自動車税減税については、最大で年間4,500円を恒久的に減税するという。

 

「しかし、これらは’19年10月~’20年末の間に新たに契約し引き渡された住宅やマンション、同年10月以降に新車新規登録を受けた自家用乗用車に適用されるもの。すでに住宅ローン減税を受けていたり、自家用車を保有している人にとっては“現状維持”となりそうです」(加谷さん)

 

■消費税増税

下半期で家計を直撃するのは、なんといっても8%から10%に引き上げられる今回の消費税増税。小売業に与える影響を加谷さんが解説する。

 

「家電は前回の増税時、駆け込み需要による“バカ売れ”が目立ちました。今回もそれを狙って、8~9月あたりから家電量販店は価格を上げる可能性がありますから、安易な“駆け込み買い”は控えたいところです」

 

さらにこの消費税増税には、もうひとつ“政府の狙い”があるという。

 

「それは決済の“キャッシュレス化”です。銀行ATMは維持費がかかりすぎるため、政府は店舗数を減らしたいのです。今後のために、クレジット決済を中心としたキャッシュレス生活に切り替えることは重要だと思います。政府は消費税増税後、クレジットカードなどのキャッシュレス決済を使った消費者に対し、購入額の5%分をポイントで還元する施策まで検討しています。還元目的に、むやみに買い物をしては本末転倒ですが……」(加谷さん)

 

「超高齢社会のいま、’20年以降も、現役世代に負担を強いる政策は増える」と加谷さんは語る。自分の消費を見直しつつ、法改正を理解して、賢く’19年を乗り切ろう。

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