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相続に関する法制度が、今年1月から段階的に変わっている。じつに40年ぶりとなる大改正により、高齢化社会に対応したルールが順次導入されていくことに。相続問題に詳しい行政書士の竹内豊さんは“妻の権利の拡大”に注目する。

 

「夫の死後、妻が1人で生きていく時間は長いので、今回は“残された妻”を保護するための改正が多いのが特徴です。自宅に住み続けるための権利や、介護の貢献によって相続人に金銭を請求できる権利など、妻の権利が広がることになります」

 

’16年厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、主たる介護者は「配偶者」が25.2%と最も多く、次いで「子」(21.8%)、「子の配偶者」(9.7%)となっている。

 

要介護だった義理の親が亡くなったとき、息子の妻(あるいは娘の夫)がどれだけ介護で貢献したとしても、嫁(婿)には相続の権利はなく、財産を得ることはできなかった。相続コーディネーターで、「夢相続」代表の曽根恵子さんは次のように語る。

 

「義父母が『どうにか嫁にも財産を残したい』と思ったら、これまでは養子縁組で息子の嫁を『娘』にするか、あるいは遺言書で財産を残すしか方法はなかったので、ほかの親族から『なぜ私よりもあの人に多く遺産を渡すのか』と、“争族”の火種になりやすく、積極的に残そうという人はあまりいませんでした」

 

そんな“介護をした人”の貢献が金銭面で報われるようになるのが、今年7月1日から施行される「特別の寄与の制度」。

 

たとえば、長男の妻が「私は義母の介護を頑張ってきたので、お金をください」と、権利を主張すれば、夫やそのきょうだいたち(相続人)は真剣に向き合う義務が生じる。

 

たとえば、母が亡くなったとき、遺産の預貯金3,000万円は長男と長女で2分の1ずつ相続するところ、母の介護をしたのは、主に長男の妻だったとすると、妻は、長男と長女に「寄与料」を請求することができる。

 

「寄与料の金額の目安などまだ詳細は決まっていませんが、妻が寄与料を請求して、相続人である長男と長女が拒否をしたら、家庭裁判所に持ち込み話し合いで決めることができます」(曽根さん・以下同)

 

介護にかかわった労力を金額に換算するのは難しく、まだ算定方法は決まっていないが、「介護にかけた時間×都道府県が定めた最低賃金」を計算して請求することが有力視されている。曽根さんの試算では「少なくとも数百万円程度は請求できるのではないか」とみているそうだ。

 

「妻側が請求する金額によっては、ひと悶着起こることもありえます。介護を行う際には、相続人同士でルールを決めて、情報を共有することが大事です。また、現在介護をしている人は、かかった時間や、通院などで病院に付き添った際に立て替えたお金などを介護ノートにこまめに記録として残しておくようにしましょう」

 

介護の様子をスマホの写真に撮って家族で情報共有するなど、便利なツールを使いこなそう。

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