相続トラブルの専門家が解説、“争族”を防ぐためのQ&A

相続に関する法制度が、今年1月から段階的に変わっている。じつに40年ぶりとなる大改正により、高齢化社会に対応したルールが順次導入されていくことに。相続問題に詳しい行政書士の竹内豊さんは“妻の権利の拡大”に注目する。

 

「夫の死後、妻が1人で生きていく時間は長いので、今回は“残された妻”を保護するための改正が多いのが特徴です。自宅に住み続けるための権利や、介護の貢献によって相続人に金銭を請求できる権利など、妻の権利が広がることになります」

 

また、要介護だった義理の親が亡くなったとき、息子の妻(あるいは娘の夫)がどれだけ介護で貢献したとしても、嫁(婿)には相続の権利はなく、財産を得ることはできなかった。相続コーディネーターで、「夢相続」代表の曽根恵子さんは次のように語る。

 

「義父母が『どうにか嫁にも財産を残したい』と思ったら、これまでは養子縁組で息子の嫁を『娘』にするか、あるいは遺言書で財産を残すしか方法はなかったので、ほかの親族から『なぜ私よりもあの人に多く遺産を渡すのか』と、“争族”の火種になりやすく、積極的に残そうという人はあまりいませんでした」

 

そんな“介護をした人”の貢献が金銭面で報われるようになる制度も施行される。

 

だが、「相続」についてはわからないことも多い。そこでトラブルになりがちなケースと、最近増えている相談事例を竹内さんと曽根さんが解説してくれた。

 

【Q1】ビットコインなど仮想通貨は相続財産になるの?

 

「仮想通貨は金融商品なので、相続財産に含まれます。資産はほかに、不動産(土地、建物)、預貯金、株式や投資信託、車、貴金属、ゴルフ会員権などが含まれます。生命保険の死亡保険金(保険料負担者である夫が死んで妻が受取人の場合)は相続財産として課税の対象になります」(曽根さん)

 

【Q2】エンディングノートは遺言書の代わりになるの?

 

「故人の意思が反映されていても、法律の形式でないと遺言書とはみなされません。ただし、財産の洗い出しや銀行口座の暗証番号、ID・パスワードを書き残してもらうために活用できるので、記録しておくことは有効です」(竹内さん)

 

【Q3】老親に「相続」の話を切り出すときの注意点は?

 

「相続が繊細な問題であるだけに親に切り出せないという人が多いのが現実です。そんなときは親が主役となる老後のテーマとして『介護になったらどうしたいのか』『お葬式やお墓はどうしたいのか』といった話をしながら、財産について確認すると自然な流れで話が引き出せるかもしれません。ほかのきょうだいがいれば一緒に話し合いをすると、“争族”を防げるでしょう」(曽根さん)

 

【Q4】認知症になった親の財産はどうやって分けるの?

 

「明確に認知症と診断されると、遺言書を作成することはできません。ただし、意思疎通できる能力があり、意思確認ができれば作れる場合もあります。有効な遺言書がなければ、相続人同士が遺産分割協議で決めることになります」(曽根さん)

 

【Q5】遺産分割協議書に使う印鑑は「認め印」でいいの?

 

「『実印』が必要です。実印とは、住民登録をしている自治体に登録した印鑑のことをいい、実印として用いるためには市役所など自治体の窓口で『印鑑登録』を行ったうえで『印鑑証明書』を発行してもらいます。遺産分割協議を経て故人の銀行口座を解約するためには実印と印鑑証明書が必要なケースが多いので、用意しておくと確実です」(竹内さん)