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40年ぶりに「相続」に関する法律が改正され、一部を除き今月から施行されている。相続は「富裕層の問題」と思いがち。だが、裁判所に持ち込まれた相続事件の、実に3分の1が遺産1,000万円以下(’17年・最高裁判所)。“争続”を避けるため、早めの準備が必要だ。ただ小さな思い違いで、取り返しのつかない事態を招くことも。そこで経済ジャーナリストの荻原博子さんが、相続の落とし穴を解説してくれた――。

 

【1】息子の妻も寄与分を請求できる

 

これまで、いくら介護を支えても息子の妻などに相続権はありませんでしたが、今後は貢献に応じた「特別寄与料」が請求できます。

 

これが大きく報道されたため、期待する方も多いでしょうが、特別寄与料が法定相続人1人分より多いとは思えません。相続財産の1割程度と考えておきましょう。

 

【2】自筆遺言書を法務局で保管

 

自筆遺言書には紛失や隠匿、偽造などの不安がありましたが、法務局保管であれば安心でしょう。

 

ただ死亡届を出したら自動的に、「遺言状があるよ」と連絡が入るわけではありません。家族が遺言書の存在を知らなければ、預けただけで開封されない可能性も。遺言書の存在や保管場所を、必ず家族に伝えておきましょう。

 

【3】仏具は相続対象ではないが……

 

相続税はすべての財産にかかるのではなく、墓地や墓石、仏壇仏具などは相続税がかかりません。

 

以前は、これを“抜け道”として、純金製の仏具や骨とう価値の高い仏像などを子孫に残す方もいましたが、今ではNG。税務署に税逃れと判断されます。

 

【4】借地なら「借地権」を相続

 

借地に故人名義の家がある場合、土地は他人のものだから相続には関係ないと思う方が多いでしょう。

 

しかし、借地には「借地権」があり、相続財産に含まれます。借地権は、借地年数にもよりますが土地の相続税評価額の6~7割が一般的。都心だと地価が数億円、借地権も億単位というケースもあります。早めに専門家にご相談を。

 

【5】賃貸住まいに思わぬ費用が

 

故人が賃貸住まいなら、荷物をすべて撤去し、借りる前の状態に原状回復して、賃貸契約を解除するまで賃貸料が必要です。

 

家財の処分を遺品整理業者に依頼すると、広さによりますが2DKで10万~25万円かかります。

 

【6】相続税は10カ月以内に現金で

 

相続税がかかるのは、相続財産が、3,000万円+600万円×法定相続人の数を超えた場合です。法定相続人が妻と子2人なら、4,800万円が判定ライン。まずは、相続財産を計算してみましょう。

 

相続税を払う方は、故人の死後10カ月以内に現金払いが原則。自宅など換金しづらい財産が多い方は、生命保険の活用も一手です。

 

生命保険の死亡保険金は、現金で支給されるうえ、500万円×法定相続人の数以内は相続税がかからないからです。

 

「相続財産は持ち家だけ」という家族が、“争続”に発展することも少なくありません。親が元気なうちに、相続の話を始めたいものです。

経済ジャーナリスト

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