日本年金機構の東京広域事務センター(東京都江東区)が個人情報を含む年金関連データを収載したDVDを紛失していたと明らかになった。またもやの不祥事に加えて、参院選の直後というタイミングでの発表に怒りの声が噴出している。
22日の産経ニュースによると、機構は国民年金の保険料未納者に訪問や電話で支払い催促する業務を外部業者に委託してきた。その業者が状況を報告するための情報を記録したDVDを送付したが、同センターに届いた後に行方不明になったとのこと。機構の担当者は「具体的な個人情報の内容や人数、行方不明になった時期は調査中」とコメントしているという。DVDは同センターにある一部のパソコンでのみ閲覧できるよう暗号化されており、すでにデータを閲覧できないよう措置をとったと伝えられている。
さらに21日の朝日新聞によると厚生労働省も今回の紛失を把握していたが、同日時点では公表していなかったという。機構が毎月発表する「事務処理誤り」に掲載するが、ネットではその方針含めて“紛失”に怒りの声が上がっている。
《事務処理誤り? その処理方法こそが誤りだ。漏えいがないから良いのではなく、紛失した事が問題だし、それを発表しないのも問題》
《これだけ個人情報の取り扱いが厳しい世の中で紛失して何も公表しないのは遺憾に思います》
《管理体制に不備がなかったのか、顛末を明らかにし原因追求と再発防止策を国民に説明報告を求めます》
また今回の件が明らかになったのは、参院選直後のこと。そのためネットではタイミングを疑問視する声も上がっている。
《国民年金のデータ紛失したの? 本当なの? 選挙のあとにわかるの? あえてなの?》
《こー言う大事な事を選挙で隠れる? タイミングで発表する機構はダメだと思うし、それをさせている現政府の監督責任も大きいと思います》
《日曜日に分かるもんなんだ。厚労省の皆様、選挙当日も休日出勤されてたの? 選挙前ということで、公表を差し控えてたのかな? って疑われかねないから、経緯をしっかりと説明すべきかと》
07年の「消えた年金問題」の後に社会保険庁が廃止されたことで、10年1月に日本年金機構は設立された。しかし以降も、不祥事が相次いでいる。
15年6月には職員の端末がサイバー攻撃を受け125万件の年金情報が流出したと公表し、17年9月には事務処理ミスなどから約10万6,000人に総額約598億円の年金の支給漏れがあったと陳謝。18年3月には約130万人に年金を過小支給していたことも発覚。機構は受給者のデータ入力を情報処理会社に委託していたが、この会社が契約に反して中国の業者へ約500万人分の業務を再委託していたことも明るみになっていた。