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河井克行議員(56)が10月31日、法務大臣を辞任したと発表された。今月25日に菅原一秀議員(57)が経済産業大臣を辞任したばかり。12年12月に第二次安倍内閣が発足してから10人目の閣僚辞任に「任命責任」を問う声が上がっている。

 

31日発売の週刊文春によると、河井議員の妻である河井案里議員(46)陣営がウグイス嬢に公職選挙法施行令で上限額として定められた日当1万5,000円の倍にあたる3万円を報酬として支払っていたという。同誌は河井議員の元公設秘書の関与も指摘している。

 

各メディアによると31日、安倍晋三首相(65)に辞表を提出した河井議員は「今回の一件は私も妻も全くあずかり知らない」と疑惑を否定。しかし「調査を行う間、法務行政への信頼は停止してしまう。妻と相談し、一晩じっくり考え、今朝決断した」と辞任の理由を説明した。

 

また同日、河井議員の辞任について安倍首相は「河井氏を法相に任命したのは私だ。こうした結果となり、その責任を痛感している。国民の皆様に深く、心からおわびを申し上げたい」と陳謝。さらに相次ぐ閣僚の辞任について「厳しい批判があること真摯に受け止めなければならない。国民の信頼を回復して、しっかりと行政を前に進めていくことにおいて責任を果たしていきたい」と述べたという。

 

安倍首相の「任命責任を果たす」という言葉は空疎なものとして響いているのかもしれない。Twitterでは「任命責任」がトレンド入りを果たしたが、厳しい声が上がっている。

 

《安倍総理の「任命責任は私にあります」という言葉、あらためて軽いと痛感します。どこに責任があるのでしょうか?》

《任命責任って他から指摘されたならわかるけどさ。自分で責任あるって言い出してなにもしないどころか反省すらしない(そもそも責任者が諸悪の根元みたいなもの)ってどう解釈したらいい》

《責任をとるためではなく説明責任から逃れるために辞任し、首相が「私の任命責任です」と言いながら何もしないという流れ。2回続けばこれが安倍内閣の基本姿勢なのは明らかだけど、典型的な「うやむやにする」やり方で、再発防止や問題解決能力のない国づくりがすすんでいる》

 

いっぽう《例えばどうとれば良いのか?》《どうしたら果たすことになるのか。トップが辞任? やり通す?》と「任命責任を取るとはどういう意味か」といった声も上がっている。

 

国会会議録検索システムで検索すると、第二次安倍内閣になってから首相による「任命責任」という文言は33の会議で記録されている。そのうち具体的な「責任の取り方」については24回記録されているが、おおむね以下のような口調だ。

 

例えば安倍首相は14年10月、当時も閣僚の辞任が相次いでいたために衆議院本会議で柿沢未途議員から「みずからの任命責任についてお認めになられていますが、責任というのは、何らかの責任をとるときに口にする言葉です」「任命責任をどうとられますか。お伺いします」と訊ねられた際、こう返答している。

 

「経済の再生を初め、内外の課題が山積する中、行政に、政治に遅滞をもたらすことのないよう、今後さらに緊張感を持って政権運営に当たってまいります。二年前の総選挙で国民の皆様からいただいた負託にしっかりと応えるため、政治を力強く前に進め、国民への責任を果たしていく決意であります」

 

また16年2月には、衆議院予算委員会でこうも述べている。

 

「閣僚の任命責任は私にあるわけであります。その責任は、究極的には、しっかりと政策を前に進めていくことによって果たされるべきものだと考えています」

 

つまり安倍首相の“任命責任の取り方”は「政治を前に進めること」となるが、それが「力強く」「しっかりと」進められたものなのかは未来にならないとわからない。そのため日本共産党のTwitterアカウントから31日に《責任を「痛感」するばかりで、決して責任を取ることがないのはなぜなのか?》と指摘されているが、首相にとっては意に介さない意見なのかもしれない。

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