年間3万人が孤独死…現場向き合う女性業者が“対策”呼びかけ

「はじめて『女性自身』の取材を受けた2年前に比べて、孤独死を『他人事じゃない』と思ってくれるフォロワーの方が増えてきた気がします。『家族が孤独死をした』という経験を持つ方もいらっしゃいました。『自分も気をつけよう』と思ってくれる方がすこしでも増えるように、ミニチュア制作をはじめ、いろんな表現方法で『孤独死の現場』を伝え続けていきたいです」

 

こう話すのは、「遺品整理クリーンサービス」所属の遺品整理人・小島美羽さん(27)。遺品整理とは、自宅やマンション、アパートなどで亡くなった人の遺品のうち、金品や重要書類などを保全し、不要物を撤去する業務。特殊清掃とは、死後、発見が遅れた遺体によって汚れた室内の清掃・原状回復を行う業務のこと。

 

毎年開催されている葬儀業界の展示会「エンディング産業展」に、2016年からミニチュアを展示し始めたところ、彼女が丹念に細部を表現した「孤独死の凄絶な現場」は大きな反響を呼び、入場者が撮影写真をアップしたツイートには1万5千ものリツイートがされるなど、大きな話題となった。

 

小島さんが作成したミニチュアの数々

 

そんな小島さんが、郵便局員の職を辞して遺品整理人になることを決心したのは、実の父親の死がきっかけだったと振り返る。

 

「高校2年生の冬、母や私と別居して昼間から飲んだくれていた父が、孤独死寸前の意識不明の状態で発見されました。知らせを受けて病院にかけつけた私は、幼いころの父との記憶が頭を駆け巡った。そして思ったのは、『死の直前になってその人の大切さがわかっても、遅いんだ』ということでした」

 

54歳での父の臨終を看取った彼女は、自身の経験を活かして「孤独死した方のご遺族に寄り添いたい」と願い、反対する母を押し切って15年に特殊清掃の職に就いたのだった。

 

年間でおよそ3万人が孤独死するといわれる日本で、彼女は年間150件ほど孤独死現場の特殊清掃に出動している。その経験則から、私たち自身が、そして家族が「孤独死しないため」の対策を教えてくれた。

 

現在では現場で得た教訓を伝えるためにイベント活動にも参加しているという

 

【1】風呂場と温度差がある脱衣所や、トイレは暖める

 

「ヒートショック(=心筋梗塞や脳卒中などを起こす要因となる急激な温度差による影響)は、寒い脱衣所と熱い湯船の温度差が引き金になることが多いといわれます。同じくトイレもこれからの冬場は危険。トイレでの孤独死の現場では、暖房便座のコンセントが入っていなかったり、便座カバーがなかったりというケースもみました」

 

【2】近所の人にあいさつする

 

「和室での孤独死のミニチュアは、晩年は独居生活だった父が好きだったワンカップをテーブルに置きました。近隣の方と会話がないと、いざというとき助け合えません。せめてすれ違うときに、あいさつくらいはかわしてほしいんです」

 

【3】銭湯やデイサービスなどを利用する

 

「毎日、必ず顔を合わせるような人がいれば、1日でも顔を見なければ『あの人どうした?』と心配してくれるものです。まったく予期できないのが孤独死ですが、他人事ではないということを繰り返しお伝えしたいです」

 

そう話す小島さんが「5カ月間、仕事終わりに毎晩すこしずつ書き溜めた」という初の著書『時が止まった部屋 遺品整理人がミニチュアで伝える孤独死のはなし』(原書房)は、現在、全国の書店で発売中だ。

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