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会社員の人は年末調整の申告を終え、もうすぐ還付される時期。正しく納税しているはずの会社員だが、実は、税金を払いすぎている人が多い。特定の用途にお金を使ったとき、申告すれば税金を安く抑えられる控除申告という制度がある。

 

なかでも多くの人が該当するのが医療費控除。1年間の医療費が10万円(年間所得が200万円未満の人は所得の5%)を超えた場合、超えた分が所得控除される。

 

とはいえ入院でもしない限り、病院代に年間10万円も払う人は少ないだろう。だが、医療費控除の対象には、市販薬の購入費や病院に通うための交通費なども含まれる。さらに、あまり知られていない「これも控除対象なの!?」と驚くものも。そんな、知らないと損をする医療費控除の対象を経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた。

 

■保険適用外の自費診療でも控除になることも

 

【介護費用】

 

実は、親の介護費用も、医療費控除の対象となるものがたくさんあります。例えば、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などに入居している方の利用料など。

 

また、在宅での介護サービスは、看護やリハビリテーションなどの「医療系サービス」と、介護や生活援助などの「福祉系サービス」に分かれますが、控除の対象はおもに医療系サービスです。医療系サービスと併せて福祉系サービスを受ける方には、両方とも控除対象になる場合もあります。

 

ただ、控除対象や控除になる割合などは複雑です。でも実際に介護を受けている方には、領収書に控除の対象か、対象なら控除金額などが書かれています。領収書を見て申告してください。

 

介護費用の平均は月7万8,000円です(’18年・生命保険文化センター)。家計の負担を軽減するために忘れず申告してください。

 

【高齢者用おむつ】

 

介護関連では、高齢者のおむつ代が控除対象です。条件は、半年以上寝たきりで、医師が発行する「おむつ使用証明書」があること。大人用おむつは赤ちゃん用に比べて高額です。寝たきりが長い方は、主治医に相談してみては。

 

【マスク】

 

ドラッグストアで買うもので、薬と先のおむつ以外では、マスクも医療費控除の対象です。ただし、用途が限られます。対象になるのは、たとえばインフルエンザにかかり医師から「マスクをしなさい」と指示された場合。残念ながら、花粉症対策や風邪予防などで使うマスクは対象外です。医療費控除の考え方は原則「治療のためは対象で、予防のためは対象外」です。

 

【健康診断や人間ドック】

 

予防は対象外なので、健康診断や人間ドックも通常は対象外です。しかし、健康診断で病気が見つかり治療に進んだ場合は、健康診断の費用も控除対象になります。

 

また、妊娠中の定期検診も控除対象です。妊娠出産時は、かかった費用から国から支給される出産一時金などを差し引いた額が、控除されます。

 

そして、予防接種は対象外です。インフルエンザの予防接種は、保険組合独自で助成するところも。

 

【トレーニングジム利用料】

 

トレーニングジムなど健康増進を目的とするものは本来、控除対象外ですが、厚生労働省の基準を満たせば、控除対象に含まれます。

 

条件は、医師による「運動療法処方箋」があること、全国に216カ所ある指定運動療法施設で、処方箋に従いトレーニングすることです。運動療法処方箋はかかりつけ医か、指定運動療法施設の提携医が発行します。相談してください。

 

【温泉療法の利用料と交通費】

 

先のジムと同様、温泉療法にも控除対象となるケースがあります。医師が「温泉療法指示書」を出し、全国に23カ所ある温泉利用型健康増進施設で、資格を持ったスタッフの指導を受けながら温泉療法をしたときです。また、温泉療法施設に行く交通費も控除対象です。

 

消費税も上がった今、税金を余分に払っている場合ではありません。ほかにも“うまい話”のウソを『騙されてませんか』(新潮新書)にまとめましたので、参考にしてください。

 

「女性自身」2020年1月1日・7日・14日号 掲載

経済ジャーナリスト

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