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中国湖北省武漢市を中心に感染が拡大した新型コロナウイルス。外務省によると、中華人民共和国では1月27日の時点で感染者は約3,000人。そのうち80名が死亡したという。

 

日本では28日に、武漢市に滞在歴のない奈良県在住の男性に感染が確認された。読売新聞によると29日に武漢市から政府チャーター機第1便で帰国した邦人3人に対して、ウイルスが検出されたという。30日には帰国者のうち、発熱や咳といった症状がない人の感染も明らかになった。

 

このような事態が刻一刻と注視されるなかで、日本国内の市場にも影響が出始めている。

 

「ドラッグストアでは店頭や通販でもマスクが品薄状態です。日本人だけでなく、訪日した中国人もまとめ買いをしています。いっぽうでオークションサイトでは、箱単位のマスクが高額で取引されています。国内メーカーは出荷や増産に追われており、間に合っていません。平日は24時間体制で稼働している工場もあります」(全国紙記者)

 

こういった背景には、日本国内の企業で働く従業員への指示にも要因があるようだ。

 

「今年の中国の春節(旧正月)は1月25日で、国民の休日は通常1週間ほどです。ですが中国政府は、新型肺炎の発生により国民の休日を2月2日まで延長する“異例”の措置を取りました。そのため、海外観光客が多く来店する外食チェーンやアパレルメーカーも従業員にマスク着用を促しています。バス・鉄道各社といったインフラ企業にもその動きは及んでいます」(前出・全国紙記者)

 

いっぽう、従業員を在宅勤務に移行させる企業も出始めている。インターネットインフラ事業のGMOインターネットグループは、渋谷・大阪・福岡の拠点で27日から2週間をめどに従業員に在宅勤務を指示。楽天や野村ホールディングスも、中国から帰国した社員に一定期間の在宅勤務を命じているという。

 

「外国人観光客が多いインバウンド地域に拠点を置く企業は、インターネットを介した業務方法で対策し始めています。この手段は東日本大震災の発生後に、首都圏で公共交通機関の運休や計画停電が実施されたことを機に関心を集めていました。従業員に在宅勤務やテレワークといった環境を作ることで、業務に支障なく感染拡大を予防する狙いです」(IT関係者)

 

今後も国内の動きを冷静に観察する必要があるだろう――。

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