報道各社の世論調査では約8割が女性天皇容認の意見にもかかわらず、安倍政権は女性天皇容認には消極的とみられている。しかし、皇室に関する著作も多数ある漫画家・小林よしのり氏は「一刻も早く女性天皇を容認すべき」と断言。保守を自認する小林氏が女性天皇に賛成する理由とは?
愛子さまがご幼少のころから、国民はご成長を見守ってきた。いま愛子さまのファンがどんどん増えているのは、愛子さまが親しみやすいお人柄でありながら、皇族にしかない高貴なオーラや輝きを発していらっしゃるからではないだろうか?
中学生のころに書かれた短編小説には驚嘆させられた。看護師になった愛子さまが、傷ついた動物たちを精いっぱい看病し、勇気と希望を与えるという幻想的な物語だった。
愛子さまは中学生にして、すべての他者に対する慈愛の精神をお持ちだと感じた。ご両親である天皇皇后両陛下から“帝王学”のいちばん大事なことをすでに学んでいらっしゃるのだ。間違いなく、愛子さまはこの国の天皇にふさわしいお方だと思う。
こういうワシも、以前は“男系男子”を維持すべきだと考えていた。ワシの周りの“保守派”の言っていることに流されていたんだ。
しかし、調べれば調べるほど、彼らの主張は非現実的でめちゃくちゃだとわかってきた。
たとえば「旧宮家の男系男子を皇族に復帰させるべき」という主張がある。戦後間もないころに皇籍を離脱した旧皇族の子孫には、たしかに男系男子が何人かいるようだが、彼らは一般人として生まれ、一般人として育っている。だから、そもそも“復帰”とは言えないし、その“男系男子”のなかに、人権が大きく制限される皇族に自ら望んでなってくれる人物がいるだろうか?
それに、これから皇室に嫁ぐ女性は“お世継ぎ”の男子を産むことを絶対の使命とされる。雅子さまもそうしたプレッシャーに苦しまれたし、女性天皇を認めない限り、皇室に嫁いでくれる女性も見つからなくなるだろう。
男系男子に固執する“原理主義者”は机上の空論を言うばかりで、むしろ皇室の存続を危うくさせているのだ。安定した皇室の継続のためにも、一刻も早く女性天皇を容認すべきだ。
そして愛子さまが天皇になられれば、女性が文字どおり日本社会の象徴となり、日本を覆う閉塞感が一気に払拭されることだろう。
「女性自身」2020年2月11日号 掲載