画像を見る

死者数がSARSを超えても収まる気配のない新型コロナウイルス。薬局からはマスクが消え、病院でも入荷待ちに……。

 

「感染者数は日に日に増えており、医学雑誌では新型コロナウイルス感染者数が中国国内で推定10万人に達しているという予測も発表されました」

 

こう話すのは、米国国立衛生研究所に所属する病理専門医の峰宗太郎さんだ。北海道大学の研究グループも患者の約半数が潜伏期間中の感染者からうつった可能性があると発表。毎日増える感染者数に、不安を感じている人は多いだろう。

 

ナビタスクリニック理事長で内科医の久住英二さんも「日本国内でも患者数はある程度増えるだろう」と見通している。ただ、感染者数や2%という死亡率だけを見て、どんな病気か決めつけるのは早い。

 

「死亡率が高いのは武漢のある湖北省で、ほかの地域だけだと0.2%未満です。重症化する人も60歳以上の高齢者で、脳梗塞や糖尿病など持病がある人が中心。怖がるだけでなく、正しい知識を身につけて、予防にも努めてほしいです」(久住さん)

 

そこで、医師の2人に新型ウイルスの“正しい感染知識”を教えてもらった。

 

【1】「予防効果なし」なのに……マスク品薄は騒動収束まで続く

 

中国だけでなく、日本でもマスクの品切れが起きている。マスクを製造するユニ・チャームの広報担当は「工場をフル稼働して24時間体制で生産を続けていますが、品薄状態解消のめどは全く立っていません」と苦慮。

 

手に入らない状況は長引きそうだが、じつは健康な人がマスクをしても、あまり意味がないという。

 

「基本的にマスクは、感染者もしくは感染の疑いがある人が、飛沫をとばさないためにつけるもの。元気な人がしても、確実に予防できるわけではありません。買い占めは、本当に必要とする人にマスクが届かなくなる可能性もあるので、注意しましょう」

 

峰さんの懸念は日本で現実のものとなり始めた。

 

「医療機関でもマスク不足は深刻で、このままでは手術などにも影響が出そうです」(久住さん)

 

医療用品の卸業者からはマスクや消毒液が品切れで、再入荷のめども立たないとの通達まであったという。

 

「シンガポールではポスターで『マスクは症状のある人だけ』と呼びかけています。買うときは、本当に必要なのか、落ち着いて考えてみてください」(峰さん)

 

【2】1秒かからず体内へ――飛沫感染「空気清浄機」では予防できない

 

二酸化塩素など殺菌成分を空気中に放出して、ウイルスや細菌を殺すのが空間除菌剤だ。

 

「しかし、ウイルスの混じった飛沫が、人の口などに取り込まれるまでの一瞬で無害化するのは無理です。同様の理由で、空気中に漂う微粒子を吸い込み、ろ過することで除菌する空気清浄機も、ウイルス感染予防の観点では期待できません」(峰さん)

 

うがい薬も効果は薄いという。

 

「京都大学の過去の研究では、水だけのうがいは病原菌の感染を防ぐ効果があると認められましたが、ヨードなどのうがい薬では効果はほぼありませんでした。それに、うがい自体もマスクや手洗いに比べると、予防効果がはっきりしていないんです」(峰さん)

 

「女性自身」2020年2月25日号 掲載

【関連画像】

関連カテゴリー: