4月16日、安倍晋三首相(65)は緊急事態宣言の対象地域をこれまでの7都府県から全国に拡大すると表明。「最低7割、極力8割の接触削減を実現しなければならない」とも強調したが、日常生活を送るうえで、どうしても必要となるのがスーパーへの買い物だ。
現在まで日本全国20カ所以上のスーパーの勤務者に、新型コロナウイルスの感染が明らかになっている。すでに米国ではスーパー内での感染リスクは大きな社会問題だ。
「感染による死者が2万人を超えた米国では、40州以上で外出禁止令が出ており、スーパーに多大なる影響が及んでいます。大手スーパーのウォルマートではシカゴ市内の店舗で働く47歳の男性と51歳の女性が亡くなるなど、他社も含め4人の死者が発生しています。同じく大手スーパーのトレーダー・ジョーズでも20店舗以上で従業員に感染者が相次いで出て、一時休業となりました。同社はほかのスーパーと比べて店舗面積が狭いため、感染リスクの上がる“3密”度が高まった事例でしょう。ロサンゼルス市では10日から従業員と客のマスク装着を義務づけました」(社会部記者)
実際、スーパーでの買い物についてYouTubeで注意喚起している医師も。ミシガン州のランドラピーツ病院に勤めるジェフリー医師が3月末に上げた動画は、約2,600万回再生されている。おもな呼びかけは下記のとおりだ。
・買い物は計画的に。滞在時間、接触時間は最低限に
・パッケージを殺菌剤で拭く
・購入物を不用意に室内に持ち込まない
・中身は素手で触らない
・野菜や果物は水に浸し、手を洗うように20秒以上洗う
・布の買い物袋はリスクがある。買い物後はウイルスが付着しているとみなし、屋外に出す
米国のスーパーでの買い物時の緊迫が伝わってくる。もし今後、日本のスーパーでクラスターが発生したら――。NPO法人・医療ガバナンス研究所の上昌広理事長は、こう懸念する。
「感染者が増えると院内感染が増えます。いまの日本で増えている死者は結果的に院内感染なんです。スーパーなど人の集まる場所はクラスター化する恐れがあるので、これ以上、感染者を増やさないように注意する必要があります」
日本のスーパーで実際、感染を防ぐためにはどうすればよいのか。名古屋市衛生研究所微生物部の柴田伸一郎部長は言う。
「感染爆発がまだ起きていない日本では、米国ほど神経質にならなくてもよいかとは思います。ただ、買い物カゴの把手、カートの押し手、袋詰めする台、総菜を取るトングなど、人が触るものにはウイルスが付着している可能性はあります。また、陳列されている商品のパックも可能性があります。野菜などは仮にウイルスが付着していても皮をむいたり、洗って使いますが、パックの表面に付着しているウイルスは見落としがちだという指摘がされています。袋詰めする台に置いてある指を湿らせるスポンジやふきんも、コロナに限らず細菌が繁殖しやすい。これらに触ったら、とにかく帰るまで顔に触らず、帰宅後にはせっけんでよく手を洗ってください。カゴやカートを使う場合は除菌シートやウエットティッシュで持ち手を拭くだけでもいいでしょう」
いざ買い物を終え、レジで会計する際も、こんな注意点が。
「現金を使わず、電子マネーやクレジットカードなどで支払うようにすれば人との接触はなくなります。レジに並ぶときはなるべく無言で距離をあけることが大事です」
最後に、買い物時の大事な心構えを前出・柴田部長はこう語る。
「3密を作らないためにも2メートルは距離を取り、混雑する曜日、時間をさけて来店し、密集してレジに並ぶのはやめましょう。子供と一緒の場合は、父親と子供は車の中で待っているとか、売場に行く人数は極力、減らしてください。そして、週1回まとめ買いするなど、買い物の回数を減らすこと。事前に買い物リストを作れば、効率的に店内を回って滞在時間を減らすことができるでしょう」
「女性自身」2020年5月5日号 掲載