緊急事態宣言解除後の対応に疑問が続々と(写真:時事通信) 画像を見る

「世界中で現在、第2波が広がっているわけです。日本はまだ、この程度で済んでいますが、今後、気持ちが緩むことでさらに広がって大変なことになると思います」

 

そう語るのは、日本感染症学会の舘田一博理事長だ。東京では6月26日に54人、27日にも57人と増え続け緊急事態宣言解除後、最多の感染者が発生。24日の会見では、小池都知事が従来の“夜の街”での感染に加え「職場内クラスターがここのところ問題になっている」と警戒感を示した。

 

「26日は、東京をあわせ全国で新たに105人の感染者が出ました。1日の感染者が100人を超えるのは5月9日以来48日ぶり。予断を許さない状況です」(全国紙記者)

 

そんなさなか、西村経済再生大臣は24日、コロナ対策の専門家会議を「廃止する」と発表。野党は「政府がコロナのマネジメントをできていなかったことが明確だ」と批判し、与党からも「事前説明がない」などと疑問が呈された。

 

「こうした報道に国民が不安を抱く現状にもかかわらず、政府は観光需要を喚起する『Go Toキャンペーン』を早ければ8月から開始すると発表。来年の東京五輪を是が非でも開催したいという政府の思惑が明らかに感じられます」(医療ジャーナリスト)

 

国立病院機構三重病院の谷口清州臨床研究部長は言う。

 

「感染症の専門家として言わせてもらうと、東京でどれだけ感染者が出たといっても、疑いのある症例から、何人検査して何人が陽性なのか、分母がないと実態がわかりません。今は検査のキャパシティも十分あると思いますし、診断キットも使えるので早期探知を進めないといけないと思います。そうしないと、また緊急事態宣言を出すことになり、いろいろな企業や店が倒れてしまいます。このまま今と同じことを続けていてはダメだと思います」

 

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