奥田さんは、この30年間で“格差”がどんどん広がった、と指摘する。
「いまや労働人口の4割、2千万人が非正規雇用です。国税庁が令和元年に発表した統計によると、平成30年の正規雇用の平均年収は男性で約560万円、女性は約390万円なのに対して、非正規雇用では男性で約240万円、女性は約150万円にまで落ち込みます。これほど正規と非正規で格差が広がり、かつ男女で賃金の差がある。母子家庭になると貧困率は5割を超えます。大規模災害などが起きて基盤が崩れたとき、まっさきにシワ寄せがくるのが特に単身の女性です。こうした現状が、女性の自死増加の背景にあるのではないでしょうか」
もともと経済基盤が脆弱な人が、ひとたび転落したら“自助”だけではどうすることもできない。
「もちろん自助努力は大事です。自分自身の人生なんだから。でも、住まいまで失った状態で、自助はどこまで可能でしょうか。“私も応援するから、あなた自身もがんばりなさいよ”というのが、本当の自助じゃないか。つまり、自助というなら、共助も公助もそばにないといけない。だから国の代表者は『なにがあっても絶対に助ける。見捨てるようなことはしない。だからあなたもがんばって』というメッセージを、まず発するべきなんです。私は、管首相が発した『自助・共助・公助』というメッセージがミスリードを招いていると感じています。『自助・共助・公助』では、自分もまわりもつぶれてから来い、と言っているように聞こえます」
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