女性蔑視発言で問題になっている東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)の進退が問われる中、菅首相(72)は自らの“独立した組織への人事介入”を否定。日本学術会議任命拒否問題との矛盾した姿勢に、ネット上では「ご都合主義」「ダブルスタンダード」と批判が噴出している。
8日の衆院予算委員会で、森会長の発言が国益にとってどう働くかを問われると、「国益にとって芳しくない」としつつも、「政府と独立した組織委員会で決めるべきこと」と繰り返し、辞任を進言することを否定した。
立憲民主党の早稲田夕季衆院議員が「国益にふさわしくないなら続投すべきではないのではないか」と迫ると、「それは私が判断する問題じゃない。組織委員会で人事を決める。独立した法人としての判断を私は尊重する立場だ」と、あくまで無関係を主張。
しかし、菅首相は組織委員会の最高顧問で顧問会議の議長。組織委の定款では、“顧問会議は、当法人の運営に関し、各界からの幅広い意見を踏まえた助言をすることができる”とある。さらに早稲田議員が「総理にしか進言できない」とした上で総理の考えを問うと、
「それは組織で決めること。私自身があの組織に対して、国が関係あるからこの人事はどうだこうだと、そういうことはすべきじゃないと思います。やはり、組織委員会というのは現に存在しているわけでありますから、そこでルールに基づいて運営されてますんで、それについて私自身が発言する話じゃないと思います」(菅首相)
つまり、「独立した組織に人事への口出しをすることはすべきでない」と明言したのだ。
しかし、菅首相は昨年、政府からの独立した審議を法律で定められている日本学術会議が推薦した候補のうち6人の任命を拒否している。
これにはネット上でもツッコミの嵐。
《ふーん。じゃ何故日本学術会議の人事には介入したの??》
《日本学術会議は首突っ込むのに、五輪組織委は「独立した法人で組織の判断を尊重…」って都合良すぎだなw 菅政権》
《要するに、自分のお仲間は守るが、気に入らない組織には介入するわけだ》
《何も悪くない学者は頑なに任命拒否してた癖に、性差別発言森会長の進退は平気でスルー。必死になる所おかしくね?》
《日本学術会議の不任命の時と全く違うことを言っている。税金が入っている組織なら国民の意見が反映されなければならないんじゃなかった?》
「菅首相は、組織委人事の任命権はなくても最高顧問兼議長として“口出し”はできる立場にいるので、『独立した組織の判断を尊重する立場』というのはちょっと違います。本音では森会長の進退問題に『口出ししたくない』ということでしょう。しかし、いくら逃げの答弁とはいえ、昨年の学術会議の任命拒否の納得のいく理由すら説明ができていない状況で、その舌の根も乾かぬうちにこんな矛盾した発言をすれば国民の顰蹙を買うことは普通なら予想できるはずですが……」(全国紙記者)
こんなときこそ“お得意の人事介入”をすれば、わざわざ学術会議問題を蒸し返されることも、国民のさらなる不信を招くこともなかったのにーー。