全国の繁華街などで、新型コロナの症状がない人を対象に、モニタリング調査が行われている。買い物客らに唾液による検査キットを無料で配るものだが、「私も検査したい」と思う人も多いのではないだろうか。そんなPCR検査費の補助を行う自治体が増えているという。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。
■お住まいの自治体の取り組みを調べよう
PCR検査費は、新型コロナが疑われる症状の有無で異なります。
まず、発熱などの症状がある方は健康保険が適用されます。一般病院では、PCR検査費が1万8,000円で検査判断料が1,500円。これが保険診療ですから、現役世代だと自己負担はその内の3割。ただし、コロナ関連の検査や治療は、自己負担分を国が補助するので、患者は実質無料です(初診料などは通常どおり3割を患者が負担)。
いっぽう、無症状者のPCR検査は、健康保険のきかない自費診療です。2,000円前後で受けられる民間の検査センターや、4,000円前後の検査キットなどもありますが、医療機関では2万〜4万円。全額本人負担だと高額な印象ですが、補助を行う自治体が増えています。
千葉県松戸市は、全市民を対象に、PCR検査1回につき2万円まで補助します。しかも毎月2回までOKという太っ腹。定期的に検査できるのは安心でしょう。
東京都千代田区や葛飾区など、高齢者や基礎疾患のある方の補助を行う自治体は比較的多いです。千代田区では同居者も対象で、1回2万円まで。’21年9月末までに1人3回まで受けられます。
新潟県糸魚川市では、介護のデイサービスを利用する高齢者に1回1万8,000円まで、また、新しく介護施設に入居する高齢者は、入居前に限り2万円まで補助します。高齢者福祉施設のクラスター発生を抑えるよい方法だと思います。
妊婦を対象にするのは京都府・京都市など。妊娠期間中に1回、2万円を補助します。妊娠中の不安が少し軽減すればいいですね。
なかには、市民以外にも補助を広げる自治体もあります。新潟県見附市では、帰省等で県外と往来する方に補助を行います。県外で暮らす人が見附市に帰省する際など、1回8,000円までを年度内に1人2回までOK。安心して里帰りできるのはありがたいですね。
さらに徳島県では、県外へ災害ボランティアに行く人に、活動の前後2回の検査を全額補助します。豪雨災害などの被災地ではボランティアが頼みの綱ですから、他県にも広がってほしい施策です。
こうした取り組みはお住まいの自治体にもあるかもしれません。HPなどで調べてみてください。
新型コロナの収束が見えないなか、自治体は住民の不安に寄り添い、検査の拡充なども大切な施策だと思います。
ですが、政府には大局的な国家のかじ取りが求められます。ワクチン接種や休業補償、五輪開催など、問題は山積です。科学的根拠に基づいた施策の立案、そしてなにより、国民にていねいな説明をしていただきたいものです。
「女性自身」2021年6月1日号 掲載