6月3日、NHKは報道局職員5人の新型コロナウイルス感染を発表した。発表によれば、感染が確認されたのは、2人の女性職員と3人の男性職員だという。
実は、この5人は報道局の警視庁クラブ所属の記者。いわゆる“サツ回り”記者だったのだ。民放局社会部記者はこう話す。
「6月1日にNHKの警視庁クラブキャップの名前で、各社に連絡がありました。《NHK報道局社会部の警視庁担当記者(捜査2課担当)が新型コロナウイルスで陽性であることが確認されました》といった文面で、それ以前にも2名の記者の陽性が判明していたという内容でした。
しかし関係者たちに話を聞いてみると、5月29日には感染が確認できていたそうです。濃厚接触者の特定に時間がかかったのかもしれませんが、感染判明から3日後の連絡は遅すぎるのではないかと思いました」
NHK報道局のある20代記者はこう明かす。
「6月1日に、東京・立川市のホテルで2人が殺傷された事件が発生しましたが、警視庁クラブの記者は12人いて、そのほとんどが感染が疑われてPCR検査を受けていたので、取材を担当した記者は大変だったそうです。
今回陽性が判明した5人の記者は、全員が警視庁クラブに“泊まり”で詰めていた記者だと聞いています。NHK局内では『彼らが頻繁に飲み会を開いていて、誰も注意しなかった』という話も出ています。
しかも、緊急事態宣言が出ているのに、『この時期は空いているから那須のほうに旅行にでも行こう』と、5月の飲み会で話して盛り上がっていたという話まであった。結局、ある記者が『やめたほうがいいですよ』と先輩記者に言って、その“旅行計画”は立ち消えになったとか…」
NHK広報局にこの件について質問状を送ると、以下のように回答があった。
《記者間で飲み会を開いていたり、旅行を計画したりという事実はございません。所属等については、取材先との関係もあり、陽性者となった人物の特定にもつながる恐れがあるので、控えさせていただきます。なお今回は、同一職場から5人の陽性者が続けて確認されたことから発表しました》
前出・20代記者はこう憤る。
「世間一般と同じように、NHK報道局内でも『会食は控えよう』という方針があって、何度も何度も上司から言われてきました。それをまじめに守ってきた記者は多いんです。“マスクを着用して、相手とは距離を取って取材していました”なんて局は発表していますが、局内で聞いた噂が本当ならば、視聴者からの信用を失います。
もっとひどいのは、はじめに警視庁クラブ内で感染者が出た日から1週間も経ってから局として公表したことです。クラスターが発生したことが疑わしくなってから発表したというのは、遅いと批判されても仕方ありません。
警視庁クラブには、新聞や民放局など報道各社が大勢人員を割いていますし、なにより取材先にも感染を広げてしまう可能性だってあります。ウチは昔から身内に甘い体質が根強いと言われていますが、やっぱり組織の体質は変わらないんだと、あらためて思いましたね」
“みなさまのNHK”に、動揺が広がっている――。