■弁護士は「2億円はもらえる」と……
「8年間の争いでしたが、経費と弁護士費用で赤字になる程度の遺産しか受け取ることができませんでした。遺産は総額で26億から30億円あると私たちは見ていましたし、法律が変わって婚外子でも同等の遺産がもらえるようになったので(※13年の法改正までは非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1と定められていた)、本来だったら2億円はもらえると弁護士の先生にも言われていました。しかし、実際はもっとはるかに少なく、手元には何も残りませんでした」
長期に渡る裁判には莫大な資金が必要だったという。
「(遺産の価値を確認するための)不動産、株式の算定でかなり手こずりました。膨大な事実確認にかかる費用だけでも2,000万円。弁護士も7名変えましたし、東京の弁護士にお願いしたので交通費や宿泊費、付け届けなど、とにかくいろんなものにお金がかかるので経費はトータルで5,000万円はかかりました。経費が出せなくなったらそこで負け。母が借金までして用立てました」
そうまでして裁判を続けた背景には真里さんの母の“女の意地”もあったという。
「父が亡くなった直後は、母は『あんたは認知されているのだから、向こうさんが(遺産のことを)言ってたときに判子を押しなさい』と言っていました。普通に弁護士を通じて遺産が分配されるものだと思っていたわけですから。ところが送られてきたのは7万8,002円の内容証明です。
私は小さいときから母に『リプトンの名前は出さないように。お父さんはいないと言いなさい』と言われて育ちました。(内容証明を受けて)母は『骨が折れるほど働き続けて、女手一つで養育費一つ請求せずにきた。家の一軒でももらったならわかる。ただ、金銭的には何一つ迷惑をかけず、誰にもわからないようにやってきたのに、あまりにもひどい』と。女性として、母の悲しみと恨みといろんな思いがあったのでしょう。母はかなり苦しんだと思います。
そして、裁判が終わった後に母は突然倒れました。その日から今年で丸4年。今は要介護4になりまして、去年から施設に入所させていただいています。
一連の騒動でメディアに出た後は、家の門灯を壊されたり、自宅の敷地にタバコの吸い殻を投げ入れられたりなど、嫌がらせも受けました。田舎なのでやっぱりヒソヒソと噂話をされます。母からは『必ず東京に出るように。頑張って生きていってくれ。あんたには辛い思いばかりさせた。迷惑をかけてすまなかった』と言われました」