■「医療的ケア児ママ」との接し方
「医療的ケア児」が身近にいたら何ができるのか? NPO法人アンリーシュ代表で、医療的ケア児と家族を支援する団体を運営する金澤裕香さんに聞いた。金澤さんは6歳で亡くした娘も医療的ケア児だった経験から、支援を開始。
【医療的ケア児の存在を知って】
「ひと昔前は、医療的ケアは病院で行われていたので、今、家で家族がケアをしている子がいるということを知らない方も多いようです。でも、病気で自宅で酸素吸入をしながら生活している年配の方がいるのと同じように、医療的ケア児も身近な存在になっています。ぜひ、そのことを知ってほしいです」(金澤さん・以下同)
【声をかけてあげよう】
「そのうえで、もし、鼻や喉にチューブをつけている子がいたら、勇気を出して声をかけてあげてください。遠慮して遠巻きに見られているのは、お母さんにとってはつらいもの。声をかけてくれたら、きっとおしゃべりしたいに違いありません。『かわいいね』『何歳?』何でもいいんです。小さな子がチューブを指さして『これなあに?』と聞いてくれれば、お母さんはちゃんと説明してくれます」
【否定的な言葉はダメ】
「ただ、そのとき、決して言わないでほしいのが、『子どもがかわいそう』とか『ママがちゃんとしていないから』とか『栄養が足りないんじゃない?』といった否定的な言葉。ママが悪いのではありません。医療の進歩のおかげで助かった大切な命。むしろ、素晴らしいことなのです」
【人ごとではありません】
「医ケア児が使っている医療デバイスは、足りない機能を補うためのもの。いわば、メガネや入れ歯の延長です。そして、医療的ケアが必要なのは子どもだけでなく、誰でも、年をとればとるほどお世話になる可能性が高まります。医ケア児の支援を応援し、協力することは、いずれは医ケアが必要になる大人や老人の助けになると思っていただけると、うれしいです」