「つっぱり棒博士」で3代目社長 これからも製品で顧客に恩返しを
画像を見る 「社長になったころは、ただただ余裕がなかったです」と竹内さん

 

■つっぱり棒はオワコンじゃない!人の生活を豊かにしてくれると気づいた

 

15年1月1日。竹内さんは社長に就任。その後、県庁で働いていた夫の一紘さんも入社した。

 

「じつは私、社長になった当初はつっぱり棒に対するリスペクトが超低かったんです。『どこにでもあって安く買えて、もう大した価値もない、言うなればオワコンでしょ』なんて言ってた。オワコンはいずれ淘汰されるから、会社として新機軸を打ち出さないと、と焦ってたんです」

 

社長になったばかりの頃は、女だからと言ってなめられたくないという気持ちもあり、余裕がなかった。何度も社員とぶつかったこともあるという。ところが、夫の入社をきっかけに肩の力が抜け、よくよく数字を眺めてみて、竹内さんはあることに気づいた。

 

「統計を見たら、うちのつっぱり棒だけで、当時でも年間160万本も売れてたんです。『オワコンなんて呼んでしまったけど、めっちゃ買ってる人いるやん、なんでやろ?』って。社内で聞いても皆、『わからない』って(苦笑)」

 

売れている理由がわからないのには、理由があった。最近でこそ、大手通販サイトでも販売し、星4つ以上の高い評価を得るなど、ユーザーの声が竹内さんたちの耳にも届きやすくなった、しかし、かつて同社は、小売店や商社に卸すばかりで、消費者に直接つっぱり棒を売ることがなかったのだ。

 

そこで、竹内さんは潜入取材の要領で調査に乗り出す。

 

「お片づけのプロと呼ばれる人たちが、うちの商品をたくさん使ってくれていたんです。『よし、まずは、その人たちとお近づきになろう』と、自分も整理収納アドバイザーの資格をとったんです」

 

知り合った人たちに聞かされたのは、思いもよらない言葉だった。

 

「すごく家庭日用品をリスペクトしてくれてる人たちで、つっぱり棒も日々の暮らしの支えとして愛用してくれていて。なかには『平安伸銅のつっぱり棒が好き』と言ってくれる人まで。それで、遅まきながら気づいたんです。私たちがやってることで、こんなにいろんな人が幸せを感じてくれてる、うちの会社も、つっぱり棒も、もっともっと可能性があるんだって」

 

社長として、そして製品の魅力を一番に理解している「つっぱり棒博士」として、三代目の竹内さんはこれからも進んでいく。

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