「ワクチン未接種者が多く、活動的な若い世代を中心にオミクロン株の感染者が急増し、そこからさらに家庭内へと拡散されています。今後しばらく、感染者は増え続けるでしょう」
そう語るのは、発熱外来でコロナ患者を診察してきた医療法人「杉原クリニック」(神奈川県横浜市)院長・古川健司先生だ。
連日のように各地で「1日あたりで過去最多の感染者数」が更新され、誰もがいつ感染してもおかしくない状況になっている。
「保健所や医療機関の機能を維持するため、基礎疾患のある人や高齢者以外は自宅療養が求められるケースもあります。不安に感じる人も多いと思いますが、オミクロン株の感染者は軽症のケースが多く、その8割の人は市販薬で対応できるのです」(古川先生・以下同)
感染が疑われても、保健所や病院はパンク状態のところも多く、診てもらえるまでのタイムラグが生じるケースも少なくない。そんないまだからこそ、正しい予防、療養方法を学んでおく必要がある。
古川先生に、オミクロン株の感染予防と、自分や家族がいざ感染してしまった際に備えておくべきことを解説してもらった。
【予防編】
〈ワクチン3回目接種〉
「英国保健安全保障庁のオミクロン株に対するワクチン有効性は、ファイザー社製の場合、2回目接種直後は約90%ありますが、20週後には約35%に下がってしまいます。しかし、ファイザー社製、もしくはモデルナ社製ワクチンの3回目接種をすることで、有効性を約70%に高められると報告されています。できるだけ早く接種することが望ましいです」
〈鼻うがい〉
外出先での不織布マスクの着用、帰宅後の手洗いやうがいを心がけている人は多い。
「私たちは口呼吸よりも鼻呼吸をしているのに、鼻のケアをしている人は少ないです。鼻腔を通じてウイルスを取り込んでしまうことを防ぐため、鼻うがいも習慣にしましょう。私は市販されている鼻うがいキットを利用しています」
〈漢方・ビタミンD〉
「オミクロン株は、デルタ株に比べて気管支での増殖速度が70倍もあるといわれています。そのため、鼻づまりや扁桃腺の炎症を改善し、ウイルス感染を抑えてくれる漢方薬の『荊芥連翹湯』が有効です。家族が感染したり、濃厚接触者となった場合の予防薬になるため、準備しておくといいでしょう」
新型コロナウイルスによる重症化リスクを軽減するという点で、免疫力を高める働きがあるビタミンDを取ることも重要だという。ビタミンDはサケやきくらげ、椎茸などに含まれているが、サプリなどで摂取してもよいそうだ。
【自宅療養編】
日常の感染対策をしていても、防ぎ切れないほど感染力が強いのがオミクロン株だが、感染者の8〜9割が無症状、あるいは軽症ともいわれている。
国立感染症研究所が発表した、沖縄県におけるオミクロン株の症例報告によると、主な症状は37.5度以上の発熱が75%、せきが60%、全身倦怠感が52%、咽頭痛が46%と続く。
これらオミクロン株の症状に対処するには、どのような市販薬を準備しておけばよいのだろう。
〈発熱・頭痛・全身倦怠感〉
「代表的な処方薬はワクチン接種後の副反応対策でも用いられる『カロナール』です。解熱剤として『ロキソニン』も一般的ですが、炎症を抑える力が強すぎて、人間が免疫を作る作用を弱めてしまいます。ウイルス感染には、一般的に免疫の誘導を妨げない『カロナール』を使用しています。市販薬で『カロナール』と同じアセトアミノフェンが主成分であるのは『パブロンゴールドA』『新ルル-A錠s』などです」