《閣僚について、追加接種はモデルナ社製ワクチンをーー》
2月1日の閣僚懇談会で、堀内詔子ワクチン担当大臣は、全閣僚に対しこう呼びかけたーー。
新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」がますます猛威をふるっている。新規感染者は全国で10万4,470人(2月3日)となり、第5波の1日あたり最多感染者数だった2万5,990人(’21年8月20日)の4倍近くになっている。
オミクロン株は「重症化しないんでしょ」という声も聞こえるが、長崎大学大学院教授で、日本ワクチン学会の理事も務める森内浩幸先生は次のように警鐘を鳴らす。
「感染力が強いため、この勢いだと国内でも感染者数が第5波の5~6倍になることが予想されています。重症化する人がデルタ株の6分の1だとしても、感染者が急増すれば、命にかかわるような重症者が第5波と同じくらい出てしまう可能性は十分にあります」
また第6波はピークアウトが近いと楽観視する声もあるが……。
「オミクロン株による新規感染者数が、先に感染が広がった欧米と同じように推移していくとは限りません。ピークはまだ先になるという予測もあります。さらに、沖縄県など国内でいち早くオミクロン株の感染が広がった地域では、若い世代の流行ピークから遅れて高齢者の感染者数が増加しています。つまり、高齢の感染者や重症者のピークはこれからやってくるとも考えられます。一刻も早く、多くの人が3回目のワクチン接種をすることが命にかかわるような重症者の数を抑えるカギになるでしょう」
ところが、国内での3回目のワクチン接種率は4.4%(2月3日時点)にとどまっている。
接種率が伸び悩むのは、堀内ワクチン担当大臣が呼びかけるように、モデルナ社製ワクチン(以下、モデルナ)を敬遠する人が多いことも要因のひとつだ。森内先生はこの状況に首をかしげる。
「モデルナは有効性が高く、持続期間が長くなる一方、若い人を中心に熱や倦怠感などの副反応が出ました。若い人にはワクチンの効果も副反応も強く出る傾向があります。発信力のある若い世代から、モデルナに対する漠然とした不安感だけがSNSなどを通じて広がってしまったのでしょう」
モデルナの副反応では、若い男性に心筋炎が起こることが指摘されていたが、心筋炎はモデルナでもファイザー社製ワクチン(以下、ファイザー)でも、起こる頻度はごくまれだという。
「とくに高齢者の方は子どもや孫から副反応の話を聞いて、なんとなく物騒に思っているのかもしれませんが、モデルナは高齢者に関しては副反応があまり出ません。さらに、3回目のモデルナのワクチン接種では、1、2回目の半分の量を接種しますが、それでも十分に有効性が確認されている。解熱鎮痛剤を用意しておくなど、事前の準備があれば副反応を過度に恐れる必要はないでしょう」