■自力ではトイレに行けず、“要介護”状態に
ブレインフォグと一緒に現れることが多いのが「倦怠感」の症状だ。この2つの症状は長引きやすく、感染から1年以上も悩んでいる人もいるという。
「倦怠感とは、体がだるい、疲れて動けない。ひどい場合は、ほぼ横になった状態でしか過ごせないような症状です。コロナの後遺症で悩む患者さんは、この2つが合わさったケースが多いように思います」(山村部長)
平畑院長によると、こうした後遺症のために、働けなくなったり、ほとんど寝たきりになったりする人も出ているという。
「高校生の患者さんの中には、大学進学を諦めた方もいました。30代の女性で、自力ではトイレに行けず、お母さんにお尻を拭いてもらっている人も。親が子どもを介護している状態です。患者さんの中で、すでに100人以上が失職しています。罹患後、後遺症に悩み苦しむ人たちが多くいることが、社会であまり認知されていないことが大きな問題だと思います」(平畑院長)
かくも恐ろしい後遺症。重症に至らなければ、ならないと考えている人も多いが、国立国際医療研究センターの調査によると、軽症であっても、後遺症になるリスクはある。
コロナに感染した448名を対象に行われた同調査では、4人に1人(26.3%)が半年後も何らかの症状が残っていると回答しているが、調査の対象者の84.4%の人が軽症者だった。
オミクロン株は重症化しにくいといわれるが、軽症であっても後遺症のリスクはあるのだ。
「昨年夏の第5波での感染者の方が、いまも後遺症外来に新しく来ます。オミクロン株の後遺症の実態が明らかになるのは、半年ほどたってからでしょう」(平畑院長)
オミクロン株の強い感染力は、多くの感染者を生み出している。そして、前出のように、倦怠感とブレインフォグが症状として出やすい。感染者のうち、どの程度の人にこれらの症状が後遺症として残るかは未知数だ。