■過去には「発がん性」が報告された食品添加物も
実際に、日本では食品への使用が認められていても、海外では禁止されている添加物も多く、あとからリスクが報告されたことも。
「人工甘味料の『チクロ』など、もともと発がん性が理由で禁止された添加物はたくさんありますが、『アカネ色素』など最近になって発がん性がわかった添加物もあるのです。高度経済成長期以降、指定添加物はだいたい330~350品目で推移してきました。ところが’00年代に入ってから、国際平準化のため、その数は330品目余から一気に450品目に増えてしまったのです」(原さん)
意見交換の場でも見解を示した、パルシステム生活協同組合連合会の常務執行役員・高橋宏通さんは、無添加と表示できなくなることで顧客が離れ、売り上げが落ちれば、「採算が合わないので、もう無添加の商品は作らない」というメーカーも出てきかねないと指摘する。
「いまや食品は、添加物ありきで作ることが前提のように思われています。しかし、添加物を使用しなくても、素材を吟味し、製法技術を駆使すれば安全でおいしい食品は作れるのです。実際に、そういう努力をして無添加の食品を作っているメーカーも少なくありません。にもかかわらず表示できなくなれば、わざわざ苦労して作る企業も減り、提供したいメーカーにとっても、選びたい消費者にとっても、大きな痛手になってしまうのです」
実際に、こんな声も届いているという。
「すでにある無添加の総菜メーカーからは、売り上げが減る見通しを理由に、販売店から『今後、御社との取引を控えたい』と連絡を受けたと聞きました。消費者庁からペナルティが科せられることを懸念しているのでしょう」(山田さん)
このままでは、気づかぬうちに食卓が食品添加物だらけになる恐れが……。この事態を前に、私たちにできることはあるのだろうか。
「現在の食品表示制度には欠陥があり、食品添加物が全部は表示されていません。そのため、安全を危惧されている食品添加物を把握したり、食品表示制度の改正に敏感になったりと、アンテナを張っておくことが重要です」(原さん)
“国が認めたから安全”という思い込みは禁物。表示に惑わされず、正しい知識で食卓の安全を守っていこう。