【第三章】泉市長が批判に答える「『明石だけハッピーならいい』とは考えていない」 から続く
批判に向き合い、「全国的にもっと子供支援に取り組んでほしい」と訴えた明石市の泉房穂市長(58)。他の自治体も真似するようになったその手腕は、コロナ禍でも注目を集めた。
’20年1月に新型コロナウイルスが猛威を振るい始めてから約2年半。泉市長は、改めてコロナ対策を振り返った(インタビューは全4回中の4回目)。
「コロナ禍になったので、市民は神戸や大阪でお金を落とす機会が減りました。もともと人口が増えて街が活性化されていたのもあり、もっと地元でお金に落としてもらおうと考えました。
そこで明石は17億円を使って、市民全員に商店街で使える5,000円の商品券を配ったんです。『明石市サポート利用券』というもので、これは市民生活の負担軽減だけでなく事業者支援の意味もあります。さらに商品券のおかげで、お店が新規顧客を掴むことにも成功。今は商品券がなくても、商店街を利用する人が増えたと聞いています。
コロナ禍にも関わらず、明石駅前にあるショッピングモール「アスピア」は過去最高の売り上げになりました。
市の貯金も2億円増えました。もちろん『ああすれば上手くいくだろう』と考えながら政治を行なっていますが、それでも思わず『何で貯金が増えてるんや!』と驚きましたよ(笑)」
明石市はコロナ禍で、17もの独自支援策を行なっている。そのうち7つが未成年の子供を対象にしたもの。児童扶養手当を5万円上乗せして支給したり、返済不要の奨学金を給付したりといったサポートを行なっている。
市に住む親子からの反響は大きいといい、泉市長はこんなエピソードを話してくれた。
「地元のコープで買い物をしていたら、お母さん方が来てくれて『市長さん会えてよかった! 本当に暮らしやすいと、お伝えしたかったんです』とおっしゃってくれました。別の日に駅前を歩いていた時も『一言お礼が言いたかったんです!』と言って、お母さんが隣にいた小さいお子さんに『お礼言いなさい!』なんて頭を下げさせたりね。
ちょっと、ビックリでしたが(笑)。みなさんに、明石市の本気度が伝わっているのかなと嬉しく思いましたよ」