283,718,176回。この数字は政府が6月22日付で発表した、国内における新型コロナウイルスのワクチン総接種回数だ。このうち1回目と2回目の接種率は、どちらも80%を超え、3回目の接種を受けた人は61.2%。現在は4回目接種を各自治体で進められている。
そんななか、一部ネット上ではワクチンへの“対抗策”が話題になっている。ワクチンに対して疑問を抱く、いわゆる“反ワクチン”の人たちの間で、すでに接種したワクチンの“解毒剤”として、「二酸化塩素」を体内に取り入れる行為が広がっているというのだ。
実際、SNS上では“ワクチン打って体調が悪くなった人は二酸化塩素水を飲んで”、“ワクチンには二酸化塩素がいちばん”という声が散見される。ある医療ジャーナリストは言う。
「二酸化塩素は強い酸化力を有することから、除菌や消毒効果があり、国内では紙パルプの漂白やプール水の消毒などの用途で使われています。
二酸化塩素は医薬品・医薬部外品として承認されていないのですが、“ワクチンは有害”だと考える人のなかには、“ワクチン解毒剤”として二酸化塩素水の作り方や飲み方をネット上で紹介する人もいるのです。そのような情報を信じた一部の人たちが、マネをしているようです」(医療ジャーナリスト)
このような薬品を体内に取り入れることに、SNS上では次のように懸念する声が上がっている。
《これはマジでヤバい。絶対ダメ》
《ツッコミどころが多すぎるなこれ…》
《経口摂取したら粘膜ただれそうだし、最悪死ぬのでは? これ勧めてる奴は飲んだことあるのかね?》
ネット上で、まことしやかに流布される“ワクチンの解毒方法”ーー。果たして、二酸化塩素を体内に直接取り入れれば、ワクチンは体内からなくなるのだろうか?
そこで本誌は、「医師が教える 最善の健康法」や「新装版『ニセ医学』に騙されないために」(ともに内外出版社刊)の著者で、内科医の名取宏氏に話を聞いた(以下、カッコ内は名取氏)。