■芸能人のお気に入りは福山雅治と松陰寺。少女のように話す姿が印象的だった
2度目の取材日。記者は祐子さんが一人暮らしを続ける東京都北区の団地にお邪魔した。前出の小そめさん、それに祐子さんの弟子の杉山照子さんが同席し、ガールズトークの花が咲く。小そめさんが聞いた。
「師匠、芸能人は誰が好きなんでしたっけ?」
すると、祐子さん、「いっつもそればっかし聞かれんだな」と言いながら、どこかうれしそうにほほ笑む。
「まずはあれだ、福山、福山雅治。あの人はいいなぁ。あとは、最近だとほら、あれがいるじゃん、松陰寺(太勇)、ぺこぱの。私、ファンなの。あの人は面白いねぇ」
祐子さん、気持ちも若いが、体だってまだまだ元気だ。
「まずお勝手はぜんぶやるでしょ。お使いも行く。お総菜は決して買わない、ぜんぶ自分で作ります。掃除は……、このごろは、掃除機はかけずに、ひょいひょいっと箒で掃いてごまかしちゃうの(笑)」
祐子さんの住まいは2階。屋外での撮影をお願いすると、サンダル履きで団地の階段を軽やかに上り下り。足腰の衰えも見えない。
「あとはそうね、ボケ防止にこれ、してるの。両手一緒は誰でもできるけど、これはちょっと難しいよ」
祐子さんは左右の手をこちらに突き出すと、互い違いにグー、チョキ、パーを猛スピードで繰り返した。「すごいですね」と、記者が感嘆の声を上げると、うれしそうに笑ってこう続けた。
「頭使うのはいいこと、記憶力だっていいんだよ。山手線一周でしょ、それから京浜東北線、高崎線に常磐線……、ぜ~んぶの駅名、こん中に入ってっからね」
そう言って、自分の頭を指さして胸を張った祐子さん。そこで記者は山手線の駅名を諳んじることをリクエスト。
「よ~し、山手線だな。まず上野、次が御徒町、秋葉原、神田……」
興が乗ってきた祐子さん。どことなく浪曲の節のように駅名を並べ続けている。
「それから、東京、有楽町、浜松町、田町……」
あれ? 新橋が抜けた? 記者が口を挟むと祐子さん、「あ!」と声を出し、顔を赤らめ頭を抱えた。
「あーーー、ダメだ、ダメだ、あ~あ~、自慢になんねえね~(笑)」
少女のように恥ずかしがる、アラ100の祐子さん。かわいらしいその姿に、団地の6畳間は、大きな笑い声に包まれていた。