■外交儀礼上、接遇等の経費がかなり使われること……
祝賀行事と国葬とでは当然おもてなしの内容も違ってくるだろうが、今回もおよそ200の国と地域から要人が参列するといわれている。仮に同規模の数の外国要人を「即位礼正殿の儀」と同様に接遇した場合、約31億円の経費が追加されることに。これを政府が発表した2億5千万円、本誌が試算した35億円と合わせると、国葬費用はなんと約70億円に膨れ上がる。
本誌は外務省に対し、この「接遇費」が具体的に何に充てられる費用なのかなどを聞いたところ、書面で次のような回答があった。
《今回の国葬儀に関しては、海外から参列する要人は招待という形はとっておらず、旅費、滞在費等は先方負担の予定です。接遇経費の見込みについては、国外からの参列される接遇を要する要人の数、各国首脳とのバイ会談の有無等が不確定であることから、現時点で確たることを申し上げられる段階ではありません》(外務省大臣官房報道課)
要人たちの旅費、滞在費等は負担しない“予定”ということだが、まだ決定ではないとも読み取れる。そして接遇の具体的な中身についての回答は得られなかった。
「日本側が参列する要人に対して何も負担しないとは考えられません。政府は今回の国葬を“弔問外交”の場であると、ハッキリと言っています。首脳同士が会談する外交の場で、費用はそちら側でお願いしますだなんて、外交儀礼上ありえません。接遇等の経費をかなり使うのではないでしょうか」
こう語るのは、国葬費用を巡り、国会内で政府側と野党合同のヒアリングに参加している、立憲民主党の渡辺周衆議院議員だ。渡辺議員によると、本年度の外務省本省一般行政に必要な経費の中に、「丁費」という名目の予備費が約32億5千万円あるそうだ。さらに「報償費」と言われる、いわゆる「外交機密費」が10億円計上されているという。
「世界中から弔問に来られる要人とともに、各国にいる日本大使館職員も随行するはずです。その旅費は接遇費に含まれるでしょう。外交ですから予備費から捻出されると思いますが、もし予備費で足りなければ、外交機密費からも充当するでしょう。もちろん、すべて国民の税金です」(渡辺議員)
さらに、機密費は使途が明らかにされない項目であり、そこから費用が捻出された場合、その分は国葬の経費に計上されないという。1日、松野博一官房長官は会見で、国葬の経費総額について「国葬儀後に精査のうえ、できる限り速やかに示したい」と、実施前の公表はしないと明言した。
「国葬まで1カ月を切った段階で、政府はどこの国の誰が、何人来るかわからないから金額は示せないと言っている。そもそも国会を通さずに国葬を決め、経費は終わった後に示す。こんなバカな話、国民が納得するはずがありません。おそらく国葬後、国民の関心がなくなったころに経費総額をひっそりと発表するのではないでしょうか」(渡辺議員)
血税がいったいどんな使い方をされたのか、私たち国民には知る権利があるはずなのだが。