今月19日からオミクロン株対応ワクチン約3000万回分が全国の自治体に配送される。
「オミクロン株の派生型であるBA.1をもとに開発されたワクチンですが、現在猛威を振るっているBA.5に対しても、一定程度の効果があると期待されています」(医療ジャーナリスト)
いま接種が行われているワクチンは従来株をもとに開発したもの。開発当初は「有効率94%」などといわれていたが、ワクチンが変異を繰り返すうちに効果が薄れてしまった。
イギリス健康安全保障庁の資料によると、ファイザー製とモデルナ製の“現行ワクチン”のオミクロン株に対する発症予防効果は、3回目接種から2〜4週間後には60〜75%程度に。20週以降はその効果がほぼ見られなくなるまで低下したというデータもあるという。
一方、新たに開発されたオミクロン株対応ワクチンは、モデルナ製で従来ワクチンの1.7倍、ファイザー製で1.56〜1.97倍のオミクロン株に対する中和抗体が作られるという。
■60歳未満も4回目の接種が始まる可能性が高い
医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広さんはワクチンに期待している。
「まだ大規模な臨床データに乏しいですが、現行ワクチンより感染予防効果や発症予防効果は高いようです。重症化予防に関しては現行ワクチンでも満足いく結果ですが、新ワクチンは同等以上になるとみられます」
当初、新ワクチンは高齢者らを対象とした4回目接種で優先的に使用されるという。しかし、諸外国では冬の流行時期にさらなる追加接種を検討しており、日本でも4回目(60歳未満の成人)、5回目(60歳以上の高齢者など)接種が開始されるようになると、上さんは予想する。
「はしかや天然痘は1回のワクチンで強い免疫ができますが、変異を重ねる新型コロナはインフルエンザ同様、何度もワクチン接種を繰り返していく必要があります。少なくとも今年、来年くらいまでは、年1〜2回のワクチン接種が必要になるでしょう」