20年1月、東京五輪・パラリンピックの記者会見の席で言葉を交わす森元首相と青木被告(写真:共同通信) 画像を見る

「東京五輪組織委員会の高橋治之元理事(78)が、広告代理店『大広』(谷口義一執行役員が逮捕)から約1千500万円の賄賂を受け取った受託収賄容疑で9月27日、東京地検特捜部に逮捕されました。紳士服『AOKI』、出版『KADOKAWA』の各ルートに続く3回目の逮捕で、世間に衝撃を与えています」(全国紙記者)

 

昨夏に開催された東京オリンピック・パラリンピックは、閉幕から1年後に関係者の相次ぐ逮捕という衝撃の展開を見せている。

 

「元電通専務の高橋容疑者は、大会公式スポンサーに選定されるように働きかけた謝礼として、AOKIの青木拡憲前会長(84)から約5千100万円、KADOKAWAの角川歴彦会長(79)から約7千万円を収賄した容疑がかかっています」(前出の記者)

 

そして、広告事業に参画できるよう取り計らう見返りに、前出の大広、広告大手「ADK」から金銭を受け取った疑いも浮上している。すでに約2億円の金の流れが明らかになっている“利権”と“見返り”の中心にいるのが、高橋容疑者だ。著書に『亡国の東京オリンピック』(文藝春秋)などがあるジャーナリストの後藤逸郎さんは次のように話す。

 

「各社を電通につないだとされる高橋容疑者は、東京への五輪招致の段階から携わっていた人物。五輪を巡る関係者の“疑惑”は今に始まったことではありません。組織委員会の森喜朗元会長や、日本オリンピック委員会(JOC)竹田恒和元会長の在職時からの『金の動き』も改めて検証する必要があるでしょう」

 

森氏と竹田氏は今回の汚職事件を受け、すでに任意の事情聴取を受けている。一連の事件の「登場人物」について、後藤さんが解説する。

 

「まず首相経験者の森喜朗元会長はスポーツ界全般への影響力が強く“日本スポーツ界のドン”です。『森さんに睨まれたらスポーツ界でやっていけない』と恐れられる存在。女性蔑視発言で’21年に組織委会長を辞任しましたが、最近も胸像建立の募金が話題になるなど、いまだ存在感を示しています」

 

今回の事件で逮捕・起訴された青木被告は「現金200万円をお見舞いとして(森氏に)渡した」と供述したと一部で報じられている。

 

「組織委会長だった森さんは、『みなし公務員』にあたり、収賄は罪になりますが、『がん治療のお見舞金として渡した』と青木被告は述べています」

 

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