コロナ後遺症の新事実 感染でアルツハイマー病発症リスクは94%増、脳卒中は50%増
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■後遺症患者の多くは軽症者が占めている

 

ウイルスの感染力が高まっていることで“再感染”のリスクが上がっていることも気がかり。後遺症に影響はないのか。

 

「先ほどと同じジャド・アルアリー教授らの研究チームが、次のような査読前の論文を発表しています。一度も感染していない540万人、コロナに1回だけ感染した約26万人、2回以上感染した約3万9千人を比較したところ、感染回数が増えるごとに、なんらかの疾患による死亡率、心疾患や脳疾患の発生リスクが2倍に高まっていたそうです」(大西さん)

 

ただし、この論文は、複数のチェックを通っていない査読前の論文であるため、「参考にとどめて、再感染によるリスク増加にも注意する必要がある」と大西さん。

 

加えて「軽症だったから大丈夫」と言えないことも明らかになってきている。前出の岡山大学病院の大塚さんは、こう指摘する。

 

「オミクロン株に置き換わってからは、酸素投与やステロイド治療が必要になるような肺炎は減少し、いわゆる“重症化率”は低下しています。しかし、だからといってコロナ後遺症になりにくいわけではない。当院の後遺症患者さんの92%は、オミクロン株感染時、“軽症”だった方なんです」(大塚さん)

 

軽症でも油断できないコロナ後遺症。感染したら誰でもなる可能性があると思っておくべきだろう。ただ、注意すべきは、後遺症だと思っていたら、意外な疾患が潜んでいることもあることだ。

 

「まれに、まぶしさや、立ちくらみ、耳鳴り、体が熱くなる、まぶたが下がってくる等の症状を訴える方もいます。また、後遺症だと思って来院されたものの甲状腺の病気や糖尿病など、ほかに疾患が見つかったケースもあります。コロナ禍で健診を控えていた方も多いので、何が原因なのか、しっかり検査してもらうことも必要です」(大塚さん)

 

コロナ後遺症の治療法も少しずつ知見が集まりつつあるが、まだまだ未解明な部分が多く、今後新たな株の出現で、どう変化するかもわからない。いまのところ、「感染しない」ことが最良の予防であることは確かである。まだまだ、コロナへの慢心は禁物だ。

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