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唐突に岸田文雄首相(65)が言い始めた防衛費の増額のための増税計画。そもそも防衛費を増額することの是非が十分に議論されぬまま、いつの間にか話題は財源の問題にシフトされていたーー。

 

「約1兆円強は、国民の税制でご協力をお願いしなければならないと考えている」

 

岸田首相は12月8日、政府与党政策懇談会でこう語り、防衛力強化のために2027年度以降に毎年度必要になる約4兆円のうち約1兆円を増税で賄う方針を示した。

 

「岸田首相は2021年9月に行われた自民党総裁選の討論会で『税を上げて財源にすることは想定してない』と語っていました。ところが総理になって増税を次々と進めている。首相になる前の発言は完全な噓だと思われても仕方がありません」

 

そう憤るのは『プレジデント』元編集長で、ジャーナリストの小倉健一さんだ。

 

「今年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻による影響で“軍拡増税”をする方針になったのだとしても、2022年の参議院選挙で増税することをしっかり国民に問うべきでした。ところが自民党の公約にあったのは『GDP比2%以上を念頭に防衛費増』とだけ。財源について国民に負担を押しつけることがわかっているのに選挙中はそれを隠し、選挙後に増税を強行する。このような噓は、民主主義の破壊につながります。そもそも防衛費増額について岸田首相は『数字ありきではない』と語っていましたが、内容が決まっていないのに、規模だけ決めてしまったわけで『数字ありき』も根も葉もない話でした」

 

岸田首相の噓はこれだけではない。この物価高騰に対して「政府が責任を持ってしっかり対応していく」と語っていたのだが……。みずほリサーチ&テクノロジーズの試算によると、2022年度の1年分の家計負担(2人以上世帯)は前年度より96,368円も増えたという。この試算を担当した南陸斗さんが解説する。

 

「今の物価の伸びは40年ぶりの大きさで、1997年、2014年の消費税増税期を超える伸び率になっています。40年前も今と同じようにモノの値段が急上昇していましたが、賃金も物価とともに伸びていました。今の局面は、物価上昇に賃金の伸びが追いついておらず、家計への負担感は近年にないものとなっています」

 

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