《#新成人 の皆さん、おめでとうございます!南極でも、中東でも!任務中に成人を迎えた隊員を乗組員総出でお祝いです!》
「成人の日」の1月9日、Twitterで新成人をこう祝ったのは海上自衛隊の公式Twitterアカウント。任務に励む隊員の日常などを発信し、フォロワーは90万人という人気アカウントだ。
しかし、年始早々からある投稿が波紋を呼ぶことに。それは元日に投稿された次の呟き。
《あけましておめでとうございます!#2023年 も、海上自衛隊は地域の平和と安定のため、全力で任務に取り組んで参ります。今年も変わらぬご支援をよろしくお願いいたします!》
シンプルな新年の挨拶だが、問題となったのはあわせて添付されていた写真。甲板と思しき場所で撮影された写真には、自衛艦旗に対峙するように、左を向いて腕組みをしながら扇状に並ぶ海上自衛官たちの後ろ姿が。そして、彼らが着用したネイビー色のTシャツの背中部分には、白文字で力強く書かれた「正義」の文字が。
この呟きは、1千万以上のインプレッションと6万件ものいいね!を獲得(1月13日21時時点)するなど大きな反響を集め、《ありがとうございます》《カッコええ》といった好意的なコメントが相次いだ。しかし、同時にこんな反応も。
《それだと海軍になるけど大丈夫です?》
《公式でこの写真を発信する意味がわかってなさすぎ。「漫画のパロディ」だから洒落で済むと思ってる感覚が非常に危ない》
《ワンピースの海軍のマネをしたいのだろうが、「正義」を掲げて暴走する組織に海上自衛隊が憧れるのは「ネタ」として笑って見過ごすことはできない。漫画の内容を全く知らないなら幼稚なだけだが、知った上でマネしているならどうかしている》
人気漫画『ONE PIECE』内にある、「正義」と背面に大きく書かれたコートを羽織った海軍の兵士たちが並ぶ有名シーンのパロディだという指摘が相次いだのだ。
『ONE PIECE』内の「海軍」は“絶対的正義”を掲げる軍事組織で、主人公・ルフィたちの前に立ちはだかる悪役として描かれることもしばしば。さらに、作中では正義のために市民を弾圧したこともあるために、パロディとして不適切であると感じた人も少なくなかったようだ。
そこで、海上自衛隊に“正義Tシャツ”を着用した真意について問い合わせると、広報担当者は電話で次のように答えた。
「漫画『ONE PIECE』から発想を得たものでありますが、官として公式のTシャツではなく、つまり官費で購入したものではないです。長期行動中の体育などにおける個人使用のために作成したものです」
また、今回の写真については「長期行動中の記念撮影の一環で撮影したものです」とし、批判については「そのようなご意見があることを承知しています。真摯に受け止めます」と回答していた。