■もし当事者になった時にできること
迷惑動画が話題になると、ネット上で投稿者の名前や通う学校といった個人情報を特定する動きが必ず起きることに。その結果、スシローで醤油ボトルを舐め回した少年は、一部では高校を自主退学したとも報じられている。
またスシローのように、投稿者に対して法的措置を検討する企業は相次いでおり、その流れは今後も加速していくことが予想される。
投稿した側にも取り返しのつかない代償が待ち受けている迷惑動画によるトラブル。防ぐためには、親子で炎上に対するリテラシーを高めることも大切なようだ。
「10代のお子さんも1回炎上してしまうと一生それは消えないので、今後就職活動だったりご結婚だったり、いろんなシーンで名前を検索されただけで何をやった人間かわかってしまうので、非常に大変なことになります。
親御さん自身がネットリテラシーが高くなくて、炎上に加担していたり、お子さんの顔写真を撮ってどんどんネットに垂れ流してしまうケースもあります。そういう姿をお子さんに見せてしまうとお子さんもネットの怖さが麻痺してしまう。
絶対に自分のお子さんの顔写真や個人情報は載せない、見知らぬ人とネットで喧嘩しないとか、インターネットの怖い部分を、一緒にいろいろ話し合いながら、どうやったら安全に楽しく使えるかなってのは、折に触れて親子でも会話できるようにしていただけるといいかなと思います」
それでも、もし子供が“加害者”になってしまったときはどうすれば――。
「当然子供の責任は親の責任と考えていただいて、誠意を見せて、謝罪をするっていうのは一つ、人間としてやるべきことだとは思います。ただ、それで許されるとは思わないほうがよくて、お子さんにもそこは理解をさせて、これからどうやって償っていくのかを本当に真剣に考えていこうと。お子さんと一緒にある意味背負っていく覚悟をしていただくことが大事だと思います。
起こしてしまったら、恐ろしいことになると思いますので、お子さんを守る覚悟も必要です。デジタルタトゥーが残る可能性もありますので、それから先のお子さんの人生において、お子さんがネットストーキングや誹謗中傷被害に遭うとかさまざまな可能性が考えられます」
身から出た錆とはいえ、デジタルタトゥーを消すことはできるのだろうか。
「例えば弁護士を通じて削除依頼を出して消してもらうことはできなくはないですが、正直いたちごっこなんですよ。コピーが世界中に広まってるので、いくら消してもらったところで、今度は海外のサーバーで管理されているようなウェブサイトに載せられちゃってどんどん手が届かないところで拡散するだけなのでおそらく消せば大丈夫って話には残念ながらならないです。本当になんとか普通に生きていくとすれば、極端な話を言うと、名前を変えて、住所を変えて、変えられるだけ風貌も変えて、本当にひっそり生きていくとか、本当にそれぐらいしかできなくなる危険性もあります」
最後に「だからこそ、予防が一番大事なんです。絶対的に」と締めくくった後藤さん。起こしてからではもう遅い迷惑動画のトラブル。親子の日頃のコミュニケーションが何より大切ではないだろうかーー。