■あふれ出るウクライナ危機への便乗感、電気代値上がりの可能性も…
なぜこれほどリスクのある原発政策が強引に進められるのか。
「ウクライナ危機や電気料金の高騰に乗じて原子力政策を進めてしまおうという意図でしょう。しかし、原発の新設については’30年代に建設開始という計画。運転期間を60年超に延長する件に関しても、少なくともこの先10年間は関係なく、焦って議論することではありません」(松久保さん)
岸田政権は、原発推進の理由として、エネルギー価格の高騰を挙げている。確かに、ここ最近の電気料金の値上がりは深刻なものだ。しかし、松久保さんは原発推進により、むしろ電気料金が高騰する可能性を指摘する。
「われわれの試算では’11年から’20年までの原発の維持費は17兆円。国民1人あたり年1万3千円の費用が、電気料金に上乗せされてきたのです。また、原発の新設には1兆?2兆円のコストがかかり、その費用を政府は『事業環境整備』という名目で国民に押しつける方針。原発推進により短期的には電気代が安くなるかもしれませんが、長期的に見れば維持費や建設費によって電気料金が値上がりする可能性があるのです」(松久保さん)
福島県双葉郡で唯一、原発事故後も避難せず入院機能を守った高野病院の高野己保理事長が語る。
「深刻な被害をもたらした福島第一原発事故の教訓を岸田政権は放棄するのですね。日本という国は、国を守っても国民を守らない、ということがよくわかりました」
一連の批判を受け岸田首相は17日、新規建設や運転延長について、国民に丁寧に説明する準備を進めるよう大臣らに指示した。しかし、結論ありきの進め方では、国民の不安がなくなることはないだろう。
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