岸田文雄首相(65)は、2月10日に新型コロナウイルス対策本部を開き「3月13日からマスクの着用は屋内外を問わず、基本的には個人の判断に委ねる」と決定した。ワクチン接種が進んだとはいえ、昨年12月からの第8波では、約2カ月でおよそ1万6000人が死亡。その9割が70代以上の高齢者だ。
このような状況で、いきなりマスクを外した生活に戻って大丈夫だろうか。インターパーク倉持呼吸器内科の倉持仁院長はこう指摘する。
「そもそも、感染状況により法の下でマスク着用を義務化した海外とは違い、日本政府は国民に“お願い”したにすぎません。今更、国がマスク不要を唱えるのは、純粋に感染症の流行を分析して安全だと判断した、というより、海外に対してよく見えるように、という目的のパフォーマンスにしか思えません」
さらに今は「第8波が終わり、次の波に備えている時期」と倉持医師は続ける。
「決してコロナがなくなったわけではありません。そんなときに他者と食事をするのは、感染リスクがある飛沫のついた食品を食べることと同じ意味を持ちます。マスクをつければ、相手の飛沫が直接口の中に入り込むのを一定の割合で防ぐ効果があります。なので、現在でも赤の他人同士が集まる場所では、基本マスクはつけたほうがよい。感染症予防には、マスクをうまく活用し、手洗い、うがいを継続すること。換気をしたり、パーティションなどを用いて、新鮮な空気が吸える環境づくりも必要です」
昭和大学医学部の臨床感染症学の二木芳人客員教授もこう話した。
「政府が“マスクは不要”と言おうと、感染のリスクが無くなったわけではありません。
現在の感染状況を考えると、政府は、ある程度の犠牲は仕方ないと覚悟をしたのでしょう。ならば、せめてそのメッセージは国民にしっかり伝えるべきです」
いきなり日取りだけ決めて、個人任せにされても困るとし、
「個人で判断するにしても、現在の感染状況と、明確な判断材料を伝えることが必要です。
まだまだ怖いウイルスですから、自分や大切な人の命を守るために、状況とリスクを考慮し、メリハリのあるマスク着用が重要だと伝えたいです」
さらに、「判断の基準はみんな一緒じゃない」と二木先生。
「まず(1)若くて健康な人と、(2)高齢者・基礎疾患のある人、もしくは家族にそういう人がいる、の2パターンに分けて考えるべきです」
二木先生は、(2)のハイリスクな人を守るためにもマスクは非常に有効だと話した。
「人から飛沫をもらわないだけでなく、自分が感染していてもマスクがあればウイルスをまき散らかしません。両方向に効果的です。また現在は、感染しても症状がない“隠れ感染者”も相当数増えているといわれます。知らずのうちにコロナをうつしてしまわないためにも、特定の場面ではマスクをつけたほうがよいでしょう」
今回は二木先生が、22のシーンに分けて、マスクをつけたほうがいい場合と外してもよいときを解説してくれた。
表中の「着」はできるだけ着用すべきとき、「脱」はリスクが低い人は外してもよいとき、「△」は場合によるときだ。
「判断の基本は、室内か屋外かです。また、部屋の密閉状態はどうか。人との距離は2メートル以上あるかも肝でしょう。『密閉』『密集』『密接』の『3密』を今もう一度しっかりと意識をして、命を守る行動をとりましょう」
大切な人を守るためにもマスクを着けよう。