■「人生経験と度胸だけは、ぎょうさんあるから」。ユニット“赤ちゃん婆ちゃん”が爆誕!
「難病指定のシェーグレン症候群と末梢神経症候群という2つの重病を、同時に患っているとの診断。シェーグレン症候群は、自分の細胞で自分の細胞を攻撃してしまう免疫性の疾患やと。症状は口の中のひび割れや、全身の痛みで、一時は寝たきりにもなったり。
もうスーパーにも迷惑をかけたくないから、14年勤めたけど、仕方なしに辞めました」
がんに続いて難病まで患い、人生で初めて弱気になり、また、隠居生活を余儀なくされていた70代手前のでこ八だったが、そこに生涯最大の転機をもたらしたのが、当時15歳の孫だった。
中3になっていた玄武は、地元の駅近辺で行われているサイファー(ストリートで輪になりラップを競い合う)に参加しており、でこ八もラップに興味を。その思いを伝えると、孫は「おばあちゃん、そうせやるなら一緒にやろう」と背中を押してくれた。
やがて、MCネームも決まった。
「“でこ八”というのは、末広がりで縁起がいいだろうという、ほんま、思い付きから」
ユニット名も、また祖母の発案。“赤ちゃん婆ちゃん”という一度耳にしたら忘れられないユニークなネーミングだが、バトルに2人で出演したときには、対戦相手から、「いい大人が“赤ちゃん”かい」と突っ込まれることもあった。
そんなとき、でこ八は、もう韻もリズムもおかまいなしに、こう応戦。
〈♪何言わしとんねんアホが。婆ちゃんにとっては、いつまでたっても、かわいい赤ちゃんじゃ。それが、わからんのか〉
この強烈なでこ八のマシンガントークと、それを隣で温かく受けとめる玄武という、かつてないラップユニットのスタイルができあがっていった。大阪のクラブでのデビューは、’18年2月。
孫15歳、祖母68歳だった。