子だくさん11人家族ーー。山本家が日本を救う!
画像を見る 自分の服は自分で畳む。子どもに片付けを徹底させているから、大家族の住まいとは思えぬほど部屋は整然としている

 

■子どもが9人いてよかったと思うことは感動も9倍あること。毎回新鮮な感動が

 

記者が「子どもが9人いてよかったことは?」と問うと、間髪入れずに「感動が9倍あること」という答えが返ってきた。

 

「初めて歩いた、しゃべったにはじまり、卒業や入学、運動会など学校の行事も。私は子どもの成長を9人分実感するタイミングがあって。それが、たとえ何回目だとしても毎回、新鮮な感動があるんです」

 

最たる感動のシーン、それは新たな命が生まれてくる瞬間だ。彩子さんは自然なお産を推奨する助産院で、子どもたちを産んできた。

 

「後ろから夫に抱き抱えてもらいながら、上の子たちが見守るなかでのお産。助産師さんが『手伝うか?』って子どもたちに聞いて、生まれてくる赤ちゃんを上の子たちが取り上げたり、へその緒を切ったりもしたんです」

 

母の隣で、うなずきながら聞いていたのは長女。彩子さんが「陽華は下の子、みんな立ち会った?」と問いかけると「寮におったから、かんちゃん(歓大くん)のときだけ立ち会えんかった」と。

 

「でも、大ちゃん(大地くん)のときかな、初めて赤ちゃんを取り上げるお手伝いを。すごく感動しました。涙は出ませんでしたけど(笑)」

 

■家族がいて自分もいるのだから、子どもたちには家族を大事にする人になってほしい

 

「私は子どもたちに、家族を大事にする人になってほしい。いまどきは『自分は自分、これは私の人生だから』って考えの人も少なくないと思います。でも、家族がおって自分がおって、自分の人生もあると思うし、うちの子たちは、それを理解できる経験をしてきていると思うんです。それがわかっていれば将来、つながりを大切にできる、節度を持った大人になってくれると信じているんです」

 

こう語る彩子さんに、この先の自身の夢を尋ねると「私、夢ってとくにないんですよ」と笑った。

 

「夫は自分たちの子育てが一段落したら、いま働いている児童養護施設のような、地域の子どもたちの面倒を見るファミリーホームを作りたいと考えているみたいで。私も、自分がいまこうやって子育てできているのは、いろんな人の助けがあってこそだと思うから。夫のことを手助けしながら、恩返しができたらいいなと思います」

 

取材終盤。寮に戻る準備を始めた長女・陽華さんにこんな質問をぶつけてみた。

 

「将来、結婚したら子どもはたくさん欲しい?」

 

すると、長女は「いらないです」と即答、両親の笑いを誘った。

 

「お父さん、お母さんが大変なの、見てきたから。3人でいいです」

 

厚労省のデータによると、1人の女性が生涯に産む子どもの数に相当する合計特殊出生率は、’21年は1.30。’22年はそれをさらに下回る公算が大きい。「それを思えば、3人でも十分な数字」と記者が指摘すると父・達也さん、長女に向かって笑顔でこう語りかけた。

 

「陽華が将来子どもを3人産んだら、国が『よしよし』って褒めてくれるかもしらんよ」

 

彩子さんもうれしそうに続けた。

 

「うちの子たちがみんな、3人ずつ子どもを授かったら……私たち27人の孫たちの、おじいちゃんとおばあちゃんになれるんだね」

 

この国の未来を救うのは、山本家のような“異次元の大家族”の存在なのではないだろうか。

 

【後編】7男2女、11人の大家族の日常をSNSに投稿 ママたちの熱い支持を集める「さぃさん」へ続く

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