「ひきこもり女子会」主催・林恭子さん もっと「自分にYES」を!
画像を見る 「当事者にはじつはエネルギーが強い人も多くて。自分には必要だからと、女子会参加直後から居場所作りに奔走した人も」と語る林さん

 

■最近の「ひきこもり女子会」には、本当に40代~50代の参加者が多い。

 

一時は自殺を考えるまでに追い詰められた林さんだったが、同じくひきこもりの当事者の会に参加したことで、「自分だけじゃないんだ」と救われた気がしたという。

 

’02年、林さんはアルバイトで生計を立て実家を出ることを決意できるまでに。このとき、林さん36歳。不登校になったあの日から、じつに20年の歳月が流れていた。

 

「やがて、さまざまな当事者たちとの出会いのなかで、もっと当事者の声を届けたい、そんな思いに駆られるようになりました」

 

林さんは’12年から、自ら率先して当事者活動を開始。そして’14年には、自分と同じ当事者、経験者らとともに当事者団体「ひきこもりUX会議」を立ち上げた。「UX」とは「Unique eXperience=固有の体験」という意味だ。活動の柱は当事者の声を届けること。そこには、当事者不在のままニーズに合致しない支援が形作られ、無駄に時間だけが過ぎてしまったという焦燥感にも似た思いがあった。

 

なかでも注目していたのが女性当事者だ。長年、「ひきこもり=若い男性」という間違ったイメージが定着してしまった結果、彼女らへの支援が圧倒的に不足していると実感していた。また、仮に支援はあっても、男性がいる場に怖くて足を運べないDVや性被害を経験した女性当事者も少なくない。

 

「そこで、女性だけが集まる場を設ければ、女性当事者がもっと来やすくなるのではと考えました」 ’02年。第1回の「ひきこもりUX女子会」が開催された。

 

「最近の女子会には、本当に40代、50代の参加者が多いんです。時には、50代がいちばん多いこともある。これまで、見過ごされてきた中高年女性の当事者たちです」

 

なかには「自死寸前だった」と語る50代女性もいた。また「50年生きてきて、初めて自分の話を聞いてもらえた」と涙を流す人も。

 

「お二方とも『女子会の存在を知り救われた』『勇気を出して今日、来て本当によかった』と言ってくれました。これは、中高年の方に限ったことではありませんが、女子会に参加された当事者の多くは、表情が激変するんです。見ている私たちも感動するぐらい、来たときの硬い表情とは別人のような、明るい顔になって帰っていく」

 

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