■今年度の殺処分は250頭も苦情の電話はほぼナシ
今回クマによる人身被害が大々的に報じられた岩手県だが、捕獲や駆除の状況はどうだろうか?そこで本誌は20日、岩手県庁環境生活部の自然保護課に話を聞いた(以下、カッコ内は全て担当者)。
まず担当者によれば、「基本的には県内で許可を出して、市町村の方で捕獲を実施することになります。クマは保護もしなければいけないという面もありますので、被害があった場合、その個体に対して捕獲の許可を出すという形です」とのこと。
なお今年度は、8月末時点において捕獲したクマは263頭だという。その上で、「クマを保護する視点もあるため、捕獲上限数を毎年決めております。今年度は上限を686頭と決めています」と教えてくれた。
いっぽう、捕獲されたクマは全ての個体が殺処分されるというわけではないようだ。
「クマが危害を加えたわけではなく、ただ迷い込んできた場合などは、街中で捕獲した後に印を付けて山に放すこともあります。ですが、印を付けた個体が街中に戻ってきたならば、“戻ってくる癖がついてしまった”ということで殺処分することになります。ただ、ケースとしてはあまり多くはありません」
なお今年度に殺処分したクマは「おそらく263頭のうち250頭くらい」だといい、「捕獲した後に山に放したケースは、1%ほど」とのことだった。
ではクマを駆除することに対して、苦情が寄せられることはあるだろうか?
「稀にございます。街中に出没したクマが殺処分されたとニュースなどで報じられた際に、『殺す必要はなかったのではないか』というお叱りのお電話を受けることは確かにあります」
ただ件数は多くはなく、「今年で5~6件ほどだったと思います」とのこと。続けて担当者は、「秋田県が大変なようですけども、岩手県ではクマを殺処分したとニュースになったケースが今年度はあまり多くなかったので、そこまで影響が出なかったように思います」と語った。
たとえ殺処分のニュースを目にしたとしても、県や自治体のやむを得ない判断だと理解すべきだろう。