■来年の後半までは賃金は物価に追いつかず
“悲しい円安”は、私たちの家計も追い込んでいく。
「日本円の総合的な購買力を表す実質実効為替レートを見ると、2020年を100とした場合、足元は69。3割ほど落ちこんでいます。これは1970年代前半の水準。つまり、国際的に見た日本の経済力は50年前にまで落ちてきているのです。
以前までなら、世界的に原油価格が高騰するような事態に陥ると、安全資産と思われていた日本円が買われ円高になっていたので、原油を購入する際の負担は軽減されました。しかし現在は円安のままなので、原油の値上がり分に加えて、円安の影響でさらに輸入価格が割高になるのです」
原油購入額が上がれば輸送費、燃料費が跳ね上がり、あらゆるものの価格に影響する。
「10月以降も家計への負担は増える見込みです。現状のようなWTI原油価格が1バレル=90ドル、ドル円相場が1ドル=150円程度の状況が続いたと仮定し、家計調査をもとに機械的に試算すると、夫婦と子供1人の3人家族は2023年度通年で平均10万2148円も支出負担増になります。
名目賃金の上昇が物価上昇に追いつくのは、来年の後半くらいとみています。まだ我慢の時期が続く見込みです。家計としても節約などの努力が必要ですが、政府も当面はガソリンやガス・電気などの補助金を継続するほか、低所得者に対する支援を行うなど、物価高対策が求められることになるでしょう」
10月23日の所信表明演説で「経済、経済、経済…」と連呼し、経済政策に力を入れていくことを表明した岸田首相。はたして、地に落ちた日本経済を復活させることができるのか。
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